【遠足】みんなでGO！東京｜リアクション

【遠足】みんなでGO！東京

☆アキバと上野

「アキバにくるのも去年の夏休み以来だよね」
　もう半年以上経つんだな、と仙藤蒼は思う。
　普段は私服で来ているので、寝子高の制服姿なのはちょっと不思議な気分だ。
　ゲーム好きの友人と一緒に、アキバと上野を回ることにした。

　ゲームショップに入ると、顔なじみの店員さんが驚いた様子で、
「いらっしゃい……どうしたの、蒼ちゃん？」
　と聞いてきた。
　制服に視線を向けているので、言いたいことはわかった。
「今年高校に入ったんだ。コスプレじゃないよ？　今日は遠足で東京に来てるの」
　と笑って答える。
　コスプレで制服着てても不思議じゃないのがアキバだな、とおかしく思えてしまう。
「入学おめでとう！　遠足でゲーセンとはさすが蒼ちゃんだね」
　店員さんは感心したように言うのだった。
「あ、つい最近は行ったばかりの洋ゲーがあるよ」
　言われて、TPS（サードパーソンシューティング）で遊んでみることにした。
　TPSは操作するキャラクターの視点ではなく、追う第三者視点でプレイするゲームだ。
　全体を見るにはこちらのほうがやりやすい。カプギアを操作するのに似ているかもしれない。
「結構難易度が高いわね」
　それでもすぐに一通りの操作を覚えた蒼は、最初のプレイとしてはそれなりの高得点を出した。
「蒼ちゃん、すごい！」
　隣でプレイしていた友人が歓声をあげる。
「反応が若干遅いのが気になる以外は、結構面白かったわ」
　店員さんに感想を述べて店を出た。

　次は、アニメセンターへ。
「春アニメのグッズがあるよ！」
　とはしゃぐ友人に引っ張られるように関連グッズのコーナーを見て回る。
「あ、このアクスタ、ゲームが原作の……」
　それはゲームで操作していたお気に入りのキャラのアクリルスタンドだった。
　アニメ化するとこういう余禄があるのが嬉しい。
「買う！　今度通学カバンにくっつけよう」
　蒼はいそいそとレジへ向かうのだった。

　その後、上野公園に出て、最初に西郷どんの銅像を見つけた。
「わあ、西郷どんだ」
　友人と一緒で、テンションが上がっている蒼たちは、
「西郷どん、こんにちわー」
　と像に挨拶をしながら写真を撮る。
「たこ焼き売ってる！　買おう」
　公園内の屋台でたこ焼きなどを買って、食べながらのんびり過ごした。
「あと上野で見ておきたいところは……」
　つぶやいた蒼に、友人が声を上げる。
「パンダ！　上野と言ったらパンダだよね！」
　思い立ったが吉日とばかり、動物園へ向かった。

「可愛いねー」
　中途半端な時間だったのか、幸いそれほど混雑していなかった。
　白と黒のもふもふで足の短い子供パンダが、ころんと転がるのが愛らしい。
　その姿を愛で、スマホに収めて蒼はつぶやいた。
「たまには外に出るのもいいよね」

このページにイラストを設定する