【遠足】みんなでGO！東京｜リアクション

【遠足】みんなでGO！東京

〇竹下通りとスタジオパーク

　篠原翠響は、友達と共に原宿の竹下通りで買い物をしていた。
　優等生で新体操に打ち込んでいる翠響も、年相応におしゃれもしたいと思う。
「あ、可愛いお店」
　お手頃価格のかわいい雑貨とか古着とかを売っている店を巡りながら、これはと思うものがあれば買おうかな……と思いながら。
　高校生の決して分厚くないお財布の中身と相談しては「うーん……」と悩ましい想いをすることになる。
「やっぱりやめとこう」
「あ、翠響、こっちのはどう？」
「どれ？　うーん、これもそこそこだけど……」　
　断念したり、思いきって買っちゃったりと、悩むのもまた買い物の楽しさ。
　買えなくったって、見て回るだけでも充分目の保養になる。
　今回は買えなかったあの服を着たり、このアクセサリーをつけたりしている自分の姿を想像してはうふふっと笑う。
「プリクラあるよ、撮ろうよ！」
　一緒に来ている友達とプリクラを撮ったり。
「そろそろお腹空いてきたね」

　クレープのお店を見つけて向かおうとした時。
「お嬢さんたち、可愛いね♪　一緒にお茶しない？」
　声をかけてきたのはチャラそうな二人組の男たちだった。
（わ、ナンパ？　どうしよう？）
　小声で友人が翠響に囁く。

　その様子を、たまたま近くを歩いていた川添かおる先生と梓智依子が見ていた。
「大丈夫でしょうか？」
　心配そうな智依子の声に、かおる先生はボーッとしたままふらふらそちらへ向かっていく。

　しかし翠響は慌てず可愛く笑って、
「予約済み♪」
　とだけ言って友達を連れて立ち去った。

　良かった、と胸をなでおろす智依子だが。
　ナンパ男たちは今度はこっちに向かってきた。
「綺麗なお嬢さん、一緒にお茶でもどう？」　
　背が高くファッションモデルのような美人の智依子は、見た目なら高校１年生にもシングルマザーにも見えない。
「……私、子持ちですけど」
　そう告げた智依子に、男たちは一瞬目を点にして、それから笑い出した。
「またまた、冗談きついよ」
　複雑な気分になった智依子の肩に、手がおかれた。
　川添先生だった。
「予約済み♪」
　そう言ってうっすらと笑いを浮かべ、智依子を連れて立ち去るのだった。

　
　そのころ美味しいクレープを食べていた翠響は、ティーン向け雑誌にスカウトされていた。
「何かスポーツされてるんですか？　新体操？　素晴らしい！　ぜひ読モになってください。可愛い服着放題ですよ」
　とかなんとか言われ、
「今日は遠足で来てるので」
　と断ると、名刺を貰った。
「すごいね！　どうするの？」
　友達は興味津々のようだ。
「後で考えてみるよ。それより、ＮＨＫ行くんでしょ？」
　
　次に翠響たちが向かったのは、NHKスタジオパークだった。
「大河ドラマのセットが見れるんだよね」
　撮影中だと言うので期待してしまう。
（主演のイケメン俳優とかいないかな？）
　と思ったが、ガラスの向こうには目当てのイケメン俳優の姿はなかった。
　どうやら悪役が策略を巡らすシーンらしい。
「なーんだ、残念だったね」
　そんなことを言い合っていると、撮影を終えた悪役俳優が出てきた。
「お嬢さんたち、俺のファンかい？　サインしてあげようか」
「えー？！　違うけど、サインもらえたらちょっとファンになるかも」
　友人の調子のいい言葉に気を悪くした様子もなく、悪役俳優は笑ってサインをしてくれた。
「あ、記念撮影してもらってもいいですか？」
　一緒に記念撮影もしてもらい、なんか得した気分になるのだった。

このページにイラストを設定する