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寝子島高校
島山梅園のとある休日。
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てくてくと向かった人だかりの中に、見知った姿をすぐに見つけて
小山内 海
は、迷わずそちらへと足を向けた。幾つか置かれたテーブルの、一番隅に座っている弥生と十海――久幸は、誰かと話をしている。
なら久幸さんへの挨拶は後でだね、と海は早速タブレットを取り出した。いつもの筆談セットは、今日はお休みだ。
十海が海に気付いて弥生に声をかけると、彼女の顔がまっすぐに上がった。それを見ながら海がタブレットの読み上げアプリに『遊びに来たよ、弥生ちゃん』と入力すると、少し耳慣れてきた感のある機械音声が、そのセリフを正確に読み上げる。
その音声で、海の居る方向を正確にとらえた弥生がぱっと顔を向けた。
「こんにちは、海さん」
『こんにちは。賑わってるね』
「はい。思ってたより、たくさん来てもらえたみたいで」
その光景は見えていなくとも、賑やかな雰囲気は聞いたり、感じたり出来るのだろう。嬉しそうにはにかむ弥生に、海も嬉しくなってその手をぎゅっと握る。
アプリでのやり取りや、それでは表現し切れない感情の伝え方に、まだ慣れたわけではない。けれども最初に来た時よりも、スムーズにやれているはずだ。
そんな少女達の様子を
七尾 蒼也
は、少し離れた所からパイプ椅子に座って見つめていた。受け取った花湯を「うん、美味い」と味わっていたら、ちょうど彼の妹くらいの年代の女の子が居るのに気づいたのだ。
最初は単に妹と同じ年頃だな、と気になっただけだったが、少し見ているとすぐに何やら様子が違う、と気が付いた。そうなるとますます気になってしまって、見ているうちに『もしかして目が見えていないのか?』と感じたのである。
そうなるともう気になって仕方がなくなって、蒼也は紙コップと紙皿を手に立ち上がると、弥生達の方へと近付いて行った。そうして「こんにちは」と話しかけてみる。
「俺は
七尾 蒼也
。4月から寝子島高校に入学して寝子島に来たんだ」
「こんにちは、島山 弥生です。寝子高――海さんと同じですね」
そんな蒼也の言葉に、弥生はにこっと微笑んで彼へと顔を向けた後、海の方へと顔を戻した。その仕草は自然だが、視線は合わない――正確には瞳が虚ろ、に見える。
やはり、と1つ瞬きして蒼也は、少女の様子を窺いながら、失礼だけど、と本題を切り出した。
「もしかして目が見えないのか? 中学生の妹がいるんで、なんとなく気になってな」
「あ、はい、そうなんです。昔、事故で……」
「そうだったのか……学校は? 授業はどうやってうけてるんだ?」
そうして弥生が答えてくれたのに、さらに疑問をぶつけていく湊弥である。冷静に考えれば、初対面の相手からいきなり色んな事を聞かれても困るかもしれないが、なんだか放っておけなくて。
考え考え言葉を紡ぐ、弥生にさらに話しかけようと口を開きかけた蒼也に、ごめんなさいねと断って
仙藤 紫
は、弥生に「お久しぶり」と声をかけた。きょとん、と不思議そうな表情になる弥生に、気が付いて名を名乗る。
「仙藤家の紫よ。今年も春野菜を頂きに来たついでに、ね」
「あ……お久しぶりです」
その言葉に、弥生が納得した表情になってぺこりと頭を下げた。先ほど挨拶した顔なじみの島山夫妻や久幸もそうだけれど、紫を始め、よく野菜を買いに来る客の事は覚えているものらしい。
さすがに十海は初めて見るので軽く頭を下げるに留め、紫は手に持った紙コップを軽く揺らしながら弥生へと向き直った。
「今日はお茶の試飲会なんですってね。私もご相伴に預からせてもらうわ」
急いで家に帰らなきゃならないわけでもないしね、と笑い声を立てて見せると、弥生もその声にくすっと笑う。そうしてなんとなく、同じテーブルに座ってそのまま、梅花湯を飲んでみることになった。
まずは主役の花湯から、と紙コップを口元に近付けると、梅の花の香りがほんのりと薫ってきた。それに微かに目を細めて1口飲んでみると、白湯のようなさらりとした質感ながら、かすかな花の香りが奥深さを感じさせるような気がする。
次にお茶請けの金平糖を一口つまめば、くっきりとした梅の酸味と砂糖の甘みが口一杯に広がった。おいしい、と胸中で呟きながらまた花湯を飲んでみると、花の香りが口の中の甘みと酸味をさらりと流していって、後味をよくしてくれている。
「――美味しいわね」
ゆえにしみじみと呟いた、紫の言葉に海もこくこくと頷いた。作った甲斐があったね、と心から思う。
香りを堪能しながら味わった、花湯はなんだか落ち着く感じの味がした。一緒にお茶請けとして出された梅の金平糖も美味しいし。
(はぁ……いい香り。これが『梅花漬』の花湯なんだね)
知らず、皆の頬が緩んでしまう。そんなゆったりとした雰囲気のテーブルから、少し離れた所にある2人掛けのテーブルでも、
古苗木 美姫
と
澪乃 湊弥
が、受け取った紙コップと紙皿を間に向かい合って座っていた。互いに初耳の梅花漬の花湯を、まずはじっくりと観察してから1口、同時に口に含んでみて。
ほぅ、と感心ともつかない息が漏れた。
「ふふ? 梅の香りがふんわりしますね、飲み易くて好きです♪」
「いやー、体もあったまるし、いいな梅湯」
そんな美姫の言葉に、
澪乃 湊弥
もうんうんと頷いた。頷いて、もう1口含んでゆっくりと口中で転がし、味わう。
春の日和にうっかり油断すると身体が冷えてしまっている事もあるこの季節にも、この梅花湯はちょうど良いように感じられた。折角だから土産にも買うか……と考えていたら、不意に、改まった様子の美姫に声をかけられる。
「湊弥さん、渡したいものがあるの」
「え、渡したいもの? ……って、おお? プレゼント?」
そんな美姫にきょとんと首を傾げた湊弥は、だが次の瞬間、彼女が目の前に差し出してきた物を見て、嬉しそうに目を見開いた。そんな彼にこくりと頷いた、美姫が渡したのは小さな袋――湊弥の誕生日が4月だと知っていたから。
中に入っているのは美姫お手製の、手芸用のチェーン状の紐が付いた、藍色のブックマーカーが3つ。柄としてそれぞれに散りばめた桜の花5弁を、フィルムで圧着してある。
それを見て、湊弥は感心に目を見張った。これまたオシャレだなあ……と衒いのない称賛の声を漏らす。
湊弥の地元・北海道ではまだこれからが桜の季節だけれど、ここ内地(北海道外)では3~4月が桜の美しい時期だ。その、美しい桜の花びらをブックマーカーにしてプレゼントに――というのは、4月が誕生日の自分にいかにもピッタリで、気が利いてるように思う。
しみじみと嬉しそうに見つめる湊弥に、美姫が少し照れた様子で「実は」と告白した。
「これ、この前のお花見で降ってきた桜の花弁、押し花にして栞にしました」
あの日の思い出を、どうにかして形に出来れば……と思っていた美姫である。ゆえに色々と考えて、こうして押し花という形で保存し、ブックマーカーへと仕立ててみたのだ。
これなら保存も効くだろうし、何より見た目が美しくて、とても実用的。
「論文を書く時に、参考になる資料を読む事とか、ありますよね」
その言葉に、ちょうど『本を読まないやつには勿体ないくらいだ』と考えていた湊弥は一瞬、言葉を詰まらせた。あー……まあ……と考えるように宙を睨む素振りをしてから、そうだ、と美姫に視線を戻す。
「よければ、おすすめの本とかあれば教えてくれないかい? 美姫さんの推す本なら面白いだろうしさ」
どうせならこれを機に、もう少し本を読むかな、と考えたのだ。何しろ折角の彼女からの贈り物だ、しっかりと活用してやりたいし――何より、彼女の趣味を知れる良い口実にもなるし。
大事だよな、と美姫に言うつもりはない独り言を胸の中だけで呟きながら「どうかな」と尋ねた、湊弥に美姫は「私からのおすすめ?」と少し考えこんだ。あれが良いか、それともこれが良いか、と候補の本が脳裏にあれこれと浮かぶ。
「えぇと……ミステリーのシリーズはよく読みます」
結局これぞというものを絞り切れないまま、美姫は思いつく順に言葉を連ねた。ミステリー、と一括りに言ってもジャンルは広大で、面白いシリーズも作家も数え上げればきりがない。
トリックが痛快だという人もいるだろうし、ストーリーの妙に惹かれるという人も居るだろう。その中で、美姫がミステリーが好きだと思う理由を上げるとすれば、
「登場人物の心理描写が好きだなあ」
「なるほど。心理描写がいいなら、感情移入して読み進めたくもなりそうだな」
まるで独り言のように、小さな微笑みを浮かべながらそう言った美姫の表情に『めんこいなぁ』と目を細めながら、湊弥は大きく頷いた。真剣に考えて答えてくれたのも嬉しいし、可愛いし、嬉しい。
美姫が幾人か挙げてくれた好きな作家の名前をしっかりと脳裏に刻みながら、湊弥はそんな風ににこにこと、可愛い恋人の姿を見つめていたのだった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
蓮華・水無月
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年04月28日
参加申し込みの期限
2021年05月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年05月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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