【新入生歓迎会】情熱のイッサイガッサイ新歓祭｜リアクション

【新入生歓迎会】情熱のイッサイガッサイ新歓祭

新歓祭の当日
　早朝の時間帯、巫部紫苑は北校舎の二階にある家庭科室の扉を開けた。中にいた白いエプロン姿の生徒達の動きが止まる。
　紫苑は大型のバックパックを背負っていた。その姿で赤い目を細めた。
「皆さん、おはようございます。私も軽食づくりに参加します。今日はよろしくお願いします」
　丁寧な言葉遣いに全員が慌てて挨拶を返す。紫苑はにこやかに歩いて空いたところに収まった。
　背負っていたバックパックを下ろすと、隣にいた女子がそれとなく近づいてきた。
「巫部さん、その大きさは凄いね。中に何が入っているの？」
「今日の分の食材です」
「それだけ？」
「はい、それだけです。新入生や在校生の方々が楽しく食事ができるくらいの量になります」
「そう、なんだ」
　女子は笑顔で小首を傾げるとパン生地の成形を始めた。

　紫苑はエプロンドレスを着て調理を始める。
「おにぎりは定番です」
　手際よく無洗米を電子ジャーに仕掛けた。その間にサンドイッチを用意する。
「……あれって、なんだろう」
「サンドイッチだと思うけど」
「盛り付けが……」
　周囲がざわつき始める。
　その中、紫苑は大皿にサンドイッチを並べる。
「一段目はカツサンドです。二段目は卵サンドで三段目はツナサンドです♪」
　歌うように積み上げてサンドイッチの塔が出来上がった。周囲の驚きを他所にジューサーでフレッシュジュースに取り掛かる。
　一時も休まず、和菓子の生地を作った。事前に用意した餡子を包んでゆく。終わるとクッキーの生地に専念した。
　流れるような動作で次々と完成させた。
「試食も大事です。皆さんも召し上がってください」
　目にした者から驚きの表情となった。
　紫苑は皿に盛られた品々を摘まんでは美味しそうに食べる。
「……五人前くらい、あるんだけど」
「良い出来です♪」
　紫苑は上機嫌でおにぎりを一口にした。