this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
谷が桜色に染まる時
<< もどる
1
2
早い目覚めとなった。体調の良さが窺える。
佐藤 瀬莉
は窓辺に向かう。閉まっていたカーテンを勢いよく開けた。
「青いね」
吸い込まれそうな空の色に自然と笑みが零れた。
「……こんな日は」
呟いて机に目をやる。ローマ数字の懐中時計が置かれていた。メンテナンスの工具類も置いてある。
瀬莉はにっこり笑うときびきびした動作になった。
白いブラウスに黒いサロペットスカートを合わせる。早速、左側の紐に懐中時計の紫色の鎖を繋いだ。
長い髪はブラシでとかし、ツインテールに仕上げた。黒いリボンの中央には歯車をあしらい、今にもカチカチと音を立てて動きそうであった。
部屋を出る前に窓へ顔を近づける。
――あたしは中学生になった。いつまでも弱いままではいられない。将来は立派な時計職人になるんだから、今のうちから身体も鍛えないとね。
瀬莉は青い空に向かって笑みを見せた。
青い空を背景にした九夜山の緑が美しい。瀬莉は笑顔で山道をゆく。
歩きながら大きく息を吸い込む。
「山の匂いがするね」
深呼吸を繰り返す。腕の振りが目立つ。気持ちも大きくなったのか。目に付いた獣道を迷うことなく突き進む。
周囲の緑が濃くなった。枝葉で陽光は遮られ、視界が悪くなる。
瀬莉は足を止めた。後ろを振り返ると道はなかった。
「もしかして」
顔を左右に振って考えをやんわりと否定した。勝ち気な顔となって再び歩き始める。黒い艶やかな瞳を方々に向けた。
周囲と同様に表情が暗くなる。
「これって迷子?」
疑いながらも現実を受け止める。懐中時計の時間を見ると、辛うじて午前の範囲だった。
「まだ時間はあるし」
弱々しい声でぎこちない笑みを浮かべる。
その時、音が聞こえた。立ち止まって一方向に耳を傾ける。
「水かな」
用心しながら斜面をゆっくりと降りていく。途中の木は掴まり易く、無事に下に降りることができた。
「こんなところが、あったんだね」
左右の山の斜面は大きく迫り出し、川幅を狭めているかのようだった。
瀬莉は適当なところにしゃがんで川に目を落とす。驚く程の透明度。川底の石がはっきりと見えた。
「冷たいのかな」
指先を伸ばし、川面に触れた。瞬間、引き上げた。もう一度、ゆっくりと指先を入れる。
「……冷たいね」
表情が陰る。引き上げた指先を軽く振った。
川の上流に目を向ける。極端に細いところが気になった。
――なんか、切れそう。そうなったら川も死んじゃうのかな。
思いながら山を眺める。何かを探すように目が動く。
――ここには桜はないんだね。
ほっとした表情になる。ゆっくりと立ち上がって全体を視界に入れた。
――病室にいた時、桜が見えたんだよね。とてもきれいなんだけど、すぐに花が散ってしまうから。見ていて辛くなったよ。
だって、あたしの命も、あの桜みたいに散ってしまうんじゃないかって、思ってたから。
表情が歪む。上手く笑えなかった。
その瞬間、山が燃えた。桜色に染まって無数の花弁を辺りに降らす。
「これって桜なの?」
瀬莉は受け入れられないのか。半開きになった口で立ち尽くす。
桜の花弁は舞い散る。同じ美しさを維持して青い空を桜色に染め上げた。
「ひょっとして」
途中で言葉を切った。黙って様子を眺めていた。
――これはきっと幻。だから、絶対に散らないんだよ。
永遠の桜と信じて満面の笑みを浮かべる。
「空の上から見てるかな、
ユウキくん
」
真上を見て軽く手を振った。
満開の桜を堪能した瀬莉は下流へと歩き出す。川のせせらぎを聞きながらゆったりとした時間を過ごした。
見覚えのある道を見つけた。斜面を上がる前に後ろを振り返る。
「また来年くるかもね」
深い緑に覆われた九夜山に笑顔で伝えた。
<< もどる
1
2
このページにイラストを設定する
あとがき
担当マスター:
黒羽カラス
ファンレターはマスターページから!
桜谷の桜は満開でした。
ですが、目にした人物によって少し意味合いが変わります。
一人は涙を流し、一人は笑顔で桜を眺めていました。
それぞれに思い起こす過去があり、満開の桜に相応しい背景となりました。
執筆した私も二人の過去に触れ、深い余韻を味わいました。
ご参加、本当にありがとうございました。
↑ページトップに戻る
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
谷が桜色に染まる時
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
黒羽カラス
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
動物・自然
定員
5人
参加キャラクター数
2人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年04月11日
参加申し込みの期限
2021年04月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年04月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!