九夜山の奥まったところに谷がある。春の季節になると周辺の山桜が満開となり、谷全体が舞い散る花弁で桜色に染まった。
通称、桜谷と呼ばれ、人々の目を楽しませてきた。
時が過ぎ、若々しい桜は老木の域に達した。自然の摂理には抗えず、一本、また一本と朽ちてゆく。人々の足は遠のき、谷に至る道が消える頃合いで桜も消滅した。
人々の記憶からも消えようとしていた。が、SNSの書き込みで息を吹き返す。
『九夜山で幻とされていた桜谷が見つかった。今も桜の木はないが、特定の人間には満開の桜が見えるらしい』
見える条件は書かれていなかったが、大雑把な位置は示されていた。ある者は悪質な冗談と捉えて相手にしなかった。逆に興味を持ち、出掛ける用意を始める者もいた。
桜谷の真相は未だ淡い花弁に包まれていた。
今回はお花見とは違う観点の桜になります。
詳しい内容は下記をご覧ください。
∞・∞・∞ 今回の舞台 ∞・∞・∞
寝子島の北に位置する九夜山が舞台になります。
曜日や天候はアクションで自由に決めてください。
谷の場所はSNSや噂で事前に知ることができます。
純粋に登山を楽しんでいると偶然、谷に迷い込んだ等、
自由な発想で書き綴ってください。
∞・∞・∞ 桜谷 ∞・∞・∞
谷には細い川があります。その周辺の斜面に桜の木がありました。今は全て朽ちて無くなっています。
満開の桜の風景を目にできる条件は「傷心」の有無です。深い悲しみ、心に負った傷が深い程、
桜はその人の心を癒すように鮮やかな満開の姿を見せてくれます。同じ悲しみを裡に秘めているからでしょうか。
短いですが、説明は以上になります。
お花見を楽しむのもいいのですが、四月にはスタートの喜びと未知への緊張があるように思います。
そこで過去の自分と向き合って、最後に鮮やかな桜の花弁に包まれて心を癒して欲しいと考え、
今回のシナリオを公開しました。誰しも四月には何かしらの想いがあるのではないでしょうか。
あなたの心を桜色に染めてみませんか?