颯爽、夜桜怪盗団！｜リアクション

颯爽、夜桜怪盗団！

●夜桜怪盗団、結成

　テオはなぜか黒のシルクハットに赤い裏地のケープを羽織っていた。
　まるで颯爽と夜を駆ける怪盗のようだ。

　その場にはアシュリー・アンダーソン、白真白、青山絢、水谷真優理たちがいた。
　テオの話によると『夜桜がある風景』が窃盗を専門とする悪魔たちによって盗まれたらしい。

「盗まれたのなら、盗み返せばいい！」

　そうテオが言った直後、景色が変わった。
　天は暗雲に染まり、稲光が輝いている。そのなかに佇む洋館がひどく不気味だった。
　その洋館こそが悪魔たちのアジトだという。
　それに４人の格好も怪盗らしい格好に変わっていた。

　真白はボディスーツ、絢と真優理はレオタードを着ていた。
　アシュリーはよくあるスーツに、ヒョウを模した仮面をつけている。
　そして手には金属を仕込んだグローブを嵌めていた。

（いわば、怪盗グローブか。なんだか燃えてくるな）

　悪魔の館を見て、アシュリーは力強く拳を握った。
　
　これからそこに潜入して、風景を封じ込めている宝珠を取り戻す。それが『夜桜怪盗団』の目的だった。

　４人はそれぞれの場所を目指して動き出す。

　　　＊　　　＊　　　＊

　絢、真優理、真白の３人は宝物庫を目指していた。
　しかし３人一緒に動くのは隠密に向かないので、二手に分かれた。

　１人で奥の部屋を目指す真白は内心かなり憤慨していた。

（桜を盗むだなんて許せない！　私楽しみにしてたのに！）

　盗み出した風景を封じ込めた宝珠。それを盗み返せば寝子島に再び夜桜が戻ってくる。

（絶対取り返すんだから）

　真白は宝物庫の奥を目指して進む。
　赤外線センサーのようなものも見えるので、物陰を伝いながら慎重に移動する。

（でもちょっとこのコスチュームはハズイかも……）

　周囲を警戒しつつも、自分の服装が気になる。
　体にフィットした、ぴっちりとしたボディスーツは、怪盗から連想できるイメージの１つかもしれない。ただ、体のラインがこれでもかと出ているし、胸元に至っては谷間まではっきり見えている。

（気にはなるけど今は夜桜を取り返すことに集中しよう）

　宝物庫には様々なものが置かれていた。
　黄金に輝く彫像から、よく分からない壺まで。どれも何かしらの価値があるのだろう。真白はそれらに潜みながら奥を目指す。

（展示物がいい感じに遮蔽物になってくれてるよね。明かりもついてないから潜みやすいし）

　そう思いつつ進んでいると、ぼんやりとした灯りが見えた。
　それと同時に悪魔の姿がうっすらと浮かび上がる。灯りのもとは悪魔の持つランタンのようだ。
　羽と尻尾が生えていて、その手にはナイフが握られている。しかし、まだこちらには気づいていない。

（１体だけなら、なんとかなるかな）

　真白は物陰に隠れながら徐々に距離をつめて、悪魔の背後から怪盗ガンを放つ。突然の衝撃に悪魔は短い悲鳴をあげると、そのまま気絶して倒れた。
　そのままにしておくと誰かに発見されかねないので、真白は悪魔の体を物陰まで引っ張る。そして怪盗マントで簀巻きにしてから、ろっこん『鋼の如く』で硬化させた。

（これで目が覚めても動けないでしょ）

　そして怪盗ベルトを使い、いま気絶させた悪魔に変装する。

（こういうのは堂々としてるのが大事だよね）

　そう考え、あえて自然体を意識する。
　このあたりは暗いので顔などもよく見えないだろうから、このほうが疑われないだろう。とはいえ別の悪魔にばったり出会ったら危険なのは変わりないので、物陰に隠れながら移動する。

（このまま変装と物陰に隠れるのを利用して奥まで行くぞー）

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