ある兄弟の事情｜リアクション

ある兄弟の事情

【ほんとはね。いつか、ね】

　晩ごはんを食べて。お風呂に入って、しばしまったり。寝支度を調えてお布団へすっぽりもぐりこんでも、カノンの冷めやらぬ興奮はとくとくとくんと胸を鳴らし続けていました。
「へへ～。楽しかったなぁ、にーちゃんとカプギアするの。にーちゃん、強かったなぁ」
　あの攻撃はとても避けられなかったなぁ。あそこでああしてれば、もっと上手くバトルできたのに。にーちゃんのあの一発、すごかったなぁ！
　思い返すたび、身震いしてしまいます。終わってなおわくわくとして、いてもたってもいられなくて、カノンは布団から長い手足をずぼっと出して、ぱたぱたぱた。
「んん～～～っ！」
　にーちゃん、また遊んでくれるかな。またバトルしてくれるかな。
　ふと気づくと、机の上からキングニャーサーがこちらを眺めています。寝る前に、今日も頑張ってくれた彼の手入れはちゃあんと済ませて、つやつやぴかぴか。勇ましい立ち姿に、ほうとため息が出てしまいます。
　カノンは騎士王をついと手に取り、にーんまり。
「にーちゃんはやっぱり、すごいなぁ。かっこいいや！　ニャーサーもそう思うでしょ？」
　答えはありませんでしたけれど、カノンにはもちろん彼がなんと言ったか、分かっています。
　かっこいいにーちゃん。強くて優しいにーちゃん。大好きなにーちゃん。
　質問の答えは、なんだかはぐらかされてしまったみたいですけれど。
「いつか、本当のこと……話してくれたらいいなぁ……」
　むにゃむにゃむにゃ。カノンはやがて、夢の中。
　背は大きいけれど、まだまだ子どもなカノン。それでいて、こう見えて聡いところもあるのです。
　お兄さんの本当の気持ちもいつかは届くのかもしれません。
　けれど今はまだ、このままで。もう少しだけ。
「……いくよぉ、にーちゃん……ニャーサー……むにゃ」

　すやすやと寝息を立てる弟の寝乱れたシーツを直してやって、レオンは苦笑い。
　起こさないようにそうっと、抜き足差し足。部屋を出ると、静かにしずかに、扉を閉めました。
　ぱたん。おやすみなさい！

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あとがき

担当マスター：墨谷幽
ファンレターはマスターページから！

　墨谷幽です。『ある兄弟の事情』、リアクションをお届けいたします。
　今回は、プライベートシナリオを担当させていただきまして、光栄でした！

　兄弟ならケンカのひとつもするものですけれど、おふたりもケンカしたりするんでしょうか？
　なんだか想像がつきませんね。
　仲良しなおふたりのわちゃわちゃを、私も楽しく執筆させていただきました！

　今回のシナリオの発端は、水月マスターのカプギアシナリオということで。
　若干ながら、ギアバトルなシーンも描写させていただきました。
　いつかおふたりが協力して事件に当たったり、タッグバトルなども描かせていただける機会があれば、嬉しいです。

　それでは、今回はご参加いただきましてありがとうございました。
　また次の機会にもお目にかかれますことを、心よりお待ちしております。
　お疲れさまでした～！

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