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春には春の
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自転車を押してゆっくり歩く。しばらく千早の肩にしがみついていた珠は気まぐれな動きでひょいと傍らの塀に飛び移ってみたり、こんの足元にじゃれついてみたり。
「つくもがみを見たことがある?」
椿の垣根に沿って歩きながら、先を歩くこんに問うてみれば、こんは楽しそうにくすくすと笑った。ないしょ、と瞳を細め、元家具工場へと続く細い道を駆けだす。
幼い背中を見守りながら、千早は小さく首を捻る。新居の一階に聞こえたという声は、いつものように神魂が原因だと思っていたけれど、
(あの廃屋にもいたのだろうか)
駆けてゆく少女の背が、ほんの一瞬、付喪神と呼ばれる妖に属するもののようにも見えた気がした。慌てて瞬きを繰り返す。
近所の家の塀や垣根に挟まれた車一台通れるか通れないかの細い道の果てに、新居はある。
分厚い観音開きの扉の前、数段ばかりの石段のところに座り込む蒼い髪の少年の姿を見つけ、千早が声を掛けようと口を開いた瞬間、
「チハヤ!」
少年は立ち上がるなり駆けてきた。微塵の躊躇いもなく抱きついてくる。
「ユニ、いらっしゃい」
人懐っこい子猫を抱き留める仕草で自転車のハンドルから片手を離して受け止め、軽く頭を撫でてやれば、ユニは照れ臭そうなくすぐったそうな声で笑った。
「ユニ。こちら、ご近所の古家さんちの夕さんと、こんちゃんと、猫のたま」
「つめたい手のユニ!」
「熱い手のこんだ!」
古家家の人々を紹介した途端、こんが声をあげユニが応じて笑った。つめたいあついと言いあっては互いの手を取ってぶんぶん振り合う様子から見て、どうやら知り合いらしい。
(結構顔が広いな)
普段は海の底に暮らしている少年は、やはりよく寝子島を歩き回っているらしい。
「うちの付喪神を見たいらしい」
「うん、みたいの!」
案内してくれるか問えば、ユニはもちろんと大きく頷いた。
「ユニ」
「うん」
「僕も、後で付喪神に紹介して欲しい。少し質問したい事があるから」
「うん!」
南京錠で留められた扉の鍵を外しつつ、千早は家の右手にある小さな庭を眺める夕に声を掛ける。
「まだ手をつけられてなくて」
三月に赤い花を残す小ぶりな椿や小さな実をつけ始めた枇杷の根元も、開花にはまだ少し早い雪柳の垂れた枝の先も、春先に勢いづく早緑の雑草たちが覆っている。
「……花壇を作ったりしたいのだけど」
「ええお庭やもの。花壇、楽しみです」
黒い瞳を穏やかに細める少女の、十代には見えない佇まいにぱちりと瞬き、千早は家の扉を開ける。
「どうぞ。中も全然片付いてないけれど」
三和土の使われた広い土間に自転車を入れて停め、籠に入れて運んできていた箱は隅で作り差しのまま放置された靴箱の上にひとまず置いておく。
「そしたら、お邪魔いたします」
「こにちわ!」
揃って頭を下げる夕とこんの隣、ユニは碧い瞳をぐるりと周囲に巡らせる。
高い天井に届きそうな何枚もの一枚板、道具箱の中に並ぶ鉋や鋸、使いかけの漆やニスの一斗缶、作りかけのままの家具。さまざまのものが乱雑に散らかって迷路と化した一階部分の、
「今日はあっちだ」
増築されて大きな窓が取り付けられ光が差し込む南側から、さわさわ、ざわざわ、ナニカの声がする。
意気揚々と先頭に立つユニの後に続くはわくわくと瞳を輝かせるこん、驚いた様子も見せず物静かな足取りの夕、ナニカの声から言葉を聞き出そうと耳を澄ませ足音を潜める千早。
(怖がってはいない、か)
勢いが良すぎてユニの背中にぶつかりそうになっているこんの楽し気な背中を確かめ、千早はひとまずホッとする。
本棚の並ぶ一角でユニは足を止めた。こっちこっちと手招きするユニの背越しに千早が見たのは、
「わしらどうなるかの」
「捨てられるかの」
「それは困る」
「困るのう」
陶器の熊に乗った金太郎のようなナニカと、ひとの身体に五徳の頭を持ったナニカと、頭から黒い布を被って琵琶を持ったナニカと、木槌を持った黒い小鬼のようなナニカ。ひとの掌ほどの大きさの彼らが膝を寄せ合い頭を寄せ合いしょぼしょぼと肩を落として話し込んでいるその様子。
「また来たよ」
相談する付喪神に恐れる様子もなく、ユニが混ざった。板間に膝を揃えるユニに倣い、こんがちょこんと正座する。
「おや坊主」
「また来たか」
「ツレも一緒か」
「家主も一緒か」
わらわらと振り向く付喪神たちの視線を浴びて、千早は小さく深呼吸をする。
──米の一粒にも神様がいる
──感謝して粗末にしないこと
頭を過るのは、父母の教え。
だからこそ、千早はその場に膝をつく。
「ええと、神代千早。おれのともだち」
こっちはこんと珠、こっちは夕、と順に紹介していくユニにそっと笑いかけ、千早はぺこりとお辞儀する。
「これから、ここに住まわせてもらいます」
「驚かんのか」
「驚いとらんな」
「流石この島の住人じゃな」
膝元に集まってきて口々に喋る小さな付喪神たちに、一階を創作の作業場として使う予定である千早は問いかける。
「ここを片付けたり掃除もするけど、して欲しくない事を確認しておきたい」
千早の言葉を聞いた途端、付喪神たちはおおと歓声をあげた。
「我らを使っておくれ」
「何でも良い、何かのかたちにしておくれ」
「わしら、ほれ、もとは斯様なものなれば」
「どうかどうか、捨てずに使っておくれ」
言うなり彼らはかたちを変える。漆塗りの金具に飾り珠、朽ちかけた箒に流木の飾り。そのまま黙する彼らに、こんが背負っていた風呂敷包みを開いた。中から出てきたのは、お供え用らしい酒の小瓶と塩と米。ままごと用らしい椀に盛って付喪神たちに捧げ、こんは何だかとても満足そうにひとつ大きく頷いた。
「ごあいさつ!」
胸を張る少女に、千早は頷き返す。小さな小さな神様たちに丁寧にお辞儀をする。
「これから、お世話になります」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年12月16日
参加申し込みの期限
2020年12月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年12月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
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