桜花寮なんでもバスケット！｜リアクション

桜花寮なんでもバスケット！

☆発表前

　桜花寮の部屋替え当日。
　佐藤英二は、その日をのんびり迎えていました。
　現在２年生の英二の住居は、桜花寮の一人部屋です。
「一人部屋はけっこう気楽だったしこのままで行こう」
　アニメ、特撮、ゲーム、プラモデル等が趣味の英二の部屋には、そういうアイテムがたくさんあります。
「正直、本とかプラモデルとかモニターとパソコンのセットとかグッズもたくさんあって、同じ寮内での移動でも引っ越しが大変だしね」
　部屋の中を見回した英二は、立ち上がりました。
「とは言え新年度になるから掃除と整理をしておこう」
　本やＤＶＤを分類して、ホームセンターで買ってきた組立て式の書棚に並べます。
「ゲームやプラモデルもちゃんと整頓して……と」
　掃除機をかけて、最後に拭き掃除。
「……と、こんな所かな？」
　綺麗になった部屋を見渡すと、ふとネコミケで買った特撮のゴアラ関連や、ロボットアニメの同人誌に目が留まりました。
　ネコミケで会った野々ののこの顔が浮かびます。
　クラスメートだったのは１年生の時ですが、なんだかんだ今年度も顔を合わせる機会が多かったのは嬉しいことでした。
「そういえば他のみんなは部屋替えしたのかな？」　
　ひと仕事終えたところで、英二は食堂に行ってみることにしました。
「誰かいたら、他の寮生の部屋割りを聞いてみたいしね」

「あっ、英二くん」
　食堂にはののこがいました。
「英二くんはお引越しするの？」　
「いや、一人部屋はけっこう気楽だからそのままで。野々さんは？」
「私はまた二人部屋で、部屋の確認に来たんだけど貼りだされてないんだ。まだかなー」
　ワクワクして待ちきれない様子です。
「早すぎたのかな。何か飲みながら待とうか」
「いいね！」
　二人は自動販売機に向かい、英二は隣にある食堂のメニューをなんとなく眺めました。
「野々さんは食堂でもカレー頼むの？」
　ネコミケで見かけるののこはよくカレーを食べているイメージがあります。
　二人は自動販売機で飲み物を買い、テーブルについて話し始めました。
　ののこはジュースを飲みながら。
「カレー好きだよー、そういえばこないだ猫☆カレー博があったんだけど、英二くんは行った？」
「ああ、海浜公園の……カレー博はわかるけど、なんで猫がつくんだろう？」
　英二が素朴な疑問を発すると。
「それ私も思った……あ、部屋割り発表が来た！」
　ののこがはじかれるように立ち上がりました。
　残ったジュースを一気飲みして、カップを捨てにゴミ箱へ向かいます。
「僕も見に行こうかな」
　慌てて英二も後を追うのでした。　　　

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