留年だけはご勘弁！　～追試編～｜リアクション

留年だけはご勘弁！　～追試編～

　追試会場にて、まうは少し沈んだ顔をしていた。
　先日の試験の日、とんでもなく調子が悪かった。その影響もあり、国語、数学、音楽　体育の点数が目も当てられない状態に。
(まう、頑張る)
　癒しとお気に入りの場所、猫鳴館、留年でもして何かあったらと思うと、
(嫌だ……！)
　そう考えるだけでもいつもの数倍頑張れる。
　黒崎先生の開始の合図と共にペンを持ったまう。それと同時に教室内が異様な騒がしさに包まれた。
(……？)
　小さなアイハラ先生、そしてキリシマ先生が様々な武器を持って戦争していたのだ。弓や弾丸が飛び、魔法の稲妻が教室の天井付近で鳴る。
　ぽかんと口を開けて上を見ている蒼留人と目が合う。彼は肩をすくめる仕草をすると、机に向き直った。
(黒の先生は見えてないのに)
　見える人と見えない人がいるのだろうか。
　と、まうの答案用紙の上の両端を陣取り、両軍の応酬が始まった。
「撃てー！　弓矢など蹴散らせー！」
　まうはうつむいて、小刻みに肩を震わす。
(……また、まうの邪魔。……追試の、邪魔っ)
　まうはテスト用紙を素早く手前に引いた。テーブルクロス引きの要領だ。足を取られてひっくり返った両軍が体勢を立て直そうとしているところにシャーペンをトタタタタっと突き刺した。重なって焼き鳥串のようになった瞬間、ポンと音を立てて消えてしまう。
　残ったメンバーに視線を落とす。
(まうはあなた達の生死より、追試が大事なの。これ以上やったら)
　怯んでいた両軍だが、
「くっ、この巨人めっ、おい、まずはこいつからだ！」
　一斉に、まうに対して攻撃が仕掛けられる。
(邪魔だって言ってるのに)
　まうは筆箱から長めの定規を取り出した。
「かかれーっ！」
　まうは定規を机と平行に勢いよく振った。
　スパッスパッと切断すると同時にポンと消え、両軍沈黙。
(まうの邪魔は許さない……！)
　手元は静かになったが、机外の戦闘も苛烈を極めている。
（こいつら………邪魔さかなよりずっとずっと派手で邪魔……！）
　さかながどれほどましだったか、と。
　終始イライラしながら、それでも猫鳴館のためにと頑張って、最後の解答を書き終え、一息吐く。そして、
(早く、殲滅しなきゃ)
　追試の邪魔をしてきたやつらに制裁だ。
　しかし、
「はい、止め。科目別に回収するから」
　時間のようだ。見回すと、
(いない。……やっぱり追試の邪魔の為に来たんだ……！)

　まうはそのまま、神社に行くことにした。
(追試や補習の邪魔からまうも皆も守ってってお願いする……！)
　終わったら早く猫鳴館に行きたい。今撫でられたなら癒されるに違いない。

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あとがき

担当マスター：高城ヒト
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高城ヒトです！

今回はがっつり追試の邪魔をしてくる大戦争のシナリオということで、好き勝手に暴れるアイハラ先生とキリシマ先生を書かせて頂きました。
時には標的にされてしまったり。
試験中にこんなことがあったら、ちょっと迷惑ですよね……！　しかしながら、皆さんが無事追試を越えられたようで何よりです。
ご参加ありがとうございました！

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