this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
「ねこのしま」にて
<< もどる
1
2
3
4
つぎへ >>
猫に限らず飼っていた動物を捨てること、もちろん許せることじゃない。人の都合だけで、あまりにも身勝手だ。
だが幸次には、そんな言葉を並べて冱子を責めようという気は起きなかった。
冱子自身が、充分すぎるくらい知っているはずだから。
おそらく数限りなく自分を責めてきたはずだから。
「言い訳をするのは簡単。当時は小学生で物事の判断がつかなかったからとか、大人に逆らってリク……猫の名ね、をかくまったところで、責任をもって飼いつづけることなんてできなかっただろうからとか」
うまい相づちが出てこない。幸次はただうなずく。
「だけどリクを捨てたのは私。ついてこようとするのを振り切って逃げたのも私」
あれほど姿勢のよかった冱子、アイスコーヒーのグラスを片手にくつろいでいても胸を張り、絵のモデルみたいに不動だった彼女が、いまは背をわずかに丸め、テーブルの木目を数えるかのように目を伏せている。
店内にBGMは流れていない。互いの鼓動すら聞こえそうなほど静かだ。
その猫は、と幸次はようやく言葉をしぼりだした。
「誰かに拾われて新しい家を見つけられたかもしれないし、野良猫になって一生を終えたのかもしれません」
ですよね? と望みをこめて言う。
「だけど」
幸次が言いにくかったその先を、かわりに言の葉にしたのは冱子だった。
「もしかしたら、保護されてそのまま殺処分になったかもしれない」
冱子の目は黒真珠のようだった。テーブルに向けられているがどこも見てはいない。
言わずにはおれなくなったのだろう。堰を切ったように話し続ける。
「あの子は、リクは標準よりずっと小さい体格だったもの。食べるものを見つけられずに飢えて死んだかもしれない。他の猫や野鳥に襲われたかも、寒さをしのぐ場所がなくて凍えて死んだかも。でもそれならまだマシ。世の中には、人に慣れた野良猫を捕らえて酷いことをする人間だっている……」
幸次の脳裏をよぎったものより、さらに冱子は想像していたのだ。そして苦しんでいたのだろう。
いずれも可能性はある。
何年前かはわからないけれど、当時は今に比べたら保護からの譲渡ができる環境はまだ整っていなかったと思う。
酷いことをする人間もいたはずだ。今に至ってもいるのだから。
「俺は……」
鈴木さんを責めるつもりはありません、そう言いかけたが幸次は表現を変えた。
「俺は、理解できるとか言えた立場じゃありません。でもこれだけはわかります。小学生の鈴木さんは、簡単にその子……リクちゃんを手放したわけじゃないですよね。きっと抵抗して、とても葛藤して、最後まで嫌がって……だから今でも後悔してるんだと思います」
だから保護猫カフェを開いて譲渡にまで関わってる、それが彼女の言う『贖罪』なのだろう。きっと。
猫は人の心がわかるという。
俗説だと一笑に付す人もいるが、幸次は信じる。
なぜってこのときキャットタワーにいた茶トラ猫が、音もなく降りてきて冱子の膝に乗ったからだ。猫は丸まって目を閉じる。大丈夫、わかってる、そう言っているかのように。
さらにもう一匹、冱子がなでていたキジトラが、彼女の膝にすりすりと身を寄せてきた。ぼくもわかってるよ、と主張しているように見えた。
「ありがとう」
冱子は幸次に、そして猫たちに言うようにつぶやいて淡々と続けた。
「ずっと後になるけど、高校生になってから私、当時の家のあった場所へ行ったわ。それで一日かけて探したの、リクを」
「見つかったんですか」
答えはわかっていたが、幸次は訊かずにはいられなかった。
黙って冱子は首を振った。
何の話? とでも言いたげな顔をして、シャム猫がひこひことやってきた。幸次と冱子のちょうど中間あたりに腰を下ろすと、双方の顔を見上げて舌で鼻をぺろっとなめた。
幸次はシャムに微笑みかけた。
大人に逆らっても子どもじゃどうしようもない、仕方ない、鈴木さんは悪くない――そう言おうかと思ったけど、それだと猫を捨てたことを肯定してしまう、それにそんな慰めを伝えたところで何になるだろう。
この人はきっと、一生をあの猫と向き合って行くと決めたんだ。
「……つまらない話につきあわせちゃったかしら」
ふっと息をついた冱子は、やはり姿勢の整いすぎるくらい整った彼女だった。
「いえそんな」
幸次を遮るように、店の電話がルルルと鳴った。
「出なくちゃ」
膝から猫を両手で下ろすと、すっくと冱子は立ちあがる。
「ごゆっくり」
スイッチを切り替えたようにすばやく、『オフィス』のドアへと向かっていく。
<< もどる
1
2
3
4
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
「ねこのしま」にて
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
動物・自然
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年10月25日
参加申し込みの期限
2020年11月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年11月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!