ジャパンホラー映画出演者募集！”地獄のメリーゴーランド”｜リアクション

ジャパンホラー映画出演者募集！”地獄のメリーゴーランド”

　☆増える犠牲者
「人狼ゲームが一転、肝試しになってきたね♪」
　どこか楽し気にチェシャは懐中電灯を片手に理緒と紗月を先導していった。
「あなたああいうことが起きた割にはすごく楽しそうよね……」
　理緒はチェシャの明るさに呆れた様子で紗月の手を握ってついていく。
「人狼ゲームをもっと続けていたかったなぁ……人狼の配役で理緒ちゃんと恋人だったから……」
　紗月は理緒の手を握り返しながら、本当は続けたかったゲームの様子を思い描いていた。
「ネタ晴らしはやめてよね～。ゲームを続けることができなくなっちゃうじゃない～。あっ！」
　チェシャが口をとがらせながら紗月に抗議をすると、懐中電灯で何かを見つけたように明かりをそちらに向ける。
「何か見つけたの？」
「うーん、手が届かないから、紗月ちゃんちょっと見に来てくれる？」
「あたしじゃダメなの？」
「理緒ちゃんは見張りをしていてくれた方が助かる～。僕ら二人ともか弱いじゃない？」
　紗月に危険なことをさせたくない理緒ではあったが、チェシャのいう事にも一理あったので、引き下がった。
　そのことを後悔することになるのだが……理緒は精一杯だったのである。

＊＊＊

　一方、智樹と瓜山、浅井の3人は管理棟の方へいき、遊園地の情報を整理していた。
「胸に聞いてみろといってきましたので、この遊園地が閉園した原因か何かにかかわっているのが今のメンバーにいるってことですよね？」
「そうなりますね。となると、20年くらい前か……」
　古びたアトラクションを眺めながら、それでも残っていることに驚きを隠せない。
「浅井さんや天塚守さんの年齢以上だから、知っている情報はすくないですよね？」
　瓜山が二人の方をみると、浅井が考えごとをしている智樹の背後に迫り、ナイフ取り出して斬りかかる姿が見えた。
「危ないっ！」
　ドンと智樹を突き飛ばして、浅井のナイフを瓜山が受ける。
「浅井さん……どうして……」
　瓜山の白いシャツが凶刃に傷き、赤く染まっていく……。
「そいつは許せない……私を殺した……」
　浅井の口ぶりは低く恨みがましく、智樹を見る目は血走っていた。
「殺した！？　そんなこと一度もしたことないぞ！」
「早く逃げて！　ここは、私が止めますからっ！」
　尋常でない様子の浅井に対して瓜山は震えながらも智樹に逃げるように促す。
「邪魔をするならあなたも！」
　傷ついた瓜山に向けてナイフが迫った。
　管理棟に残っていた資料や鍵を手に智樹はその場を離れていく。
　後ろは振り返らない……せっかくのチャンスを無駄にはしたくなかった。