【期末テスト】満点？留年？？早春、四日間の死線＜物語編＞｜リアクション

【期末テスト】満点？留年？？早春、四日間の死線＜物語編＞

〇めざせ進級！

（今年も野々さんの進級がピンチな感じだなぁ）
　佐藤英二は、気になる野々ののこの成績を心配していた。
　二学期のののこのテスト結果は芳しくなかったようで、今回の結果次第ではシャレにならないことになりそうだ。
　教室の前で待っていると、ののこが出てきた。
「あっ、野々さん。桜花寮の食堂勉強会に行かない？」
　声をかけられたののこはどんぐりまなこをぱちくりさせ、
「英二くん！　そうだね、留年しないよう頑張らなきゃ」
　と明るく答えてくれた。
　一応やる気はあるようで、英二はほっとした。

「野々さん、こっちこっち」
　食堂で席を取っていた英二が手を振る。
「お待たせ～。何から始めようかな？」
　にこにことかばんを開くののこ。
「そうだね……まずは数学かな」
「えー、数学？」
　不満そうなののこをなだめる英二。
「最初の教科だし、眠くならないうちに始めるのがいいんじゃないかな」
　苦手教科を重点的に、と言いたいところだが。
（野々さんの場合、全教科キビしそうなのがツライなぁ）
「えーと、わからない問題とかある？」
「そう言われても、ほとんどわからないよー」　
　頭を抱えるののこ。
「こうなったら試験の出題内容を予測して、ヤマを張って確実に解答できる問題を何問かつくることに全力を尽くそう」
　授業内容をよく思い出してみる。先生が重要（＝試験に出そう）と仄めかした箇所にはノートにチェックを入れていた覚えがある。
（何とか野々さんの力になれるよう努力してみよう！）
　英二は問題をピックアップし、ののこに教え始める。
　しばらく頑張っていたののこだったが。
「お腹空いた。何か食べようよ」
「そうだね……でも食べ過ぎないようにね？」

　しかし案の定、ご飯を食べた後は眠くなる。　
「野々さん、みんなで一緒に進級できるよう頑張ろう！」
　一生懸命励ます英二だが、ののこはもうやる気がないようだ。
「うん……そうしたいけど」
　もう一押しが必要だ。そう思った英二は畳みかける。
「もしも無事に進級できたらお祝いに1日何でも奢るよ！　この際、食堂でもカラオケでも遊園地でも何でもＯＫだよ」
「本当？」
　眠そうだったののこの瞳がキュピーン！　と輝いた。
（財布はきついけど野々さんの進級には代えられない）
　心から英二はそう思った。
　やる気を出したののこは一生懸命問題を解いている。
　とはいえ、これがずっと続くわけではないことも英二はわかっている。
（最後は野々さんの鉛筆の転がしが上手くＨｉｔすることを願おう。あと、きっと救済措置の補習もあるしね）
　内心そう思いながら、ののこの勉強を見守るのだった。

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