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くくつかみおに
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夜明けを待つ落神神社の境内を、ちろちろと蛇の舌のように細く赤い火が照らしている。
そのわけはエレノアがわざわざ持って来たリュックにあった。いやに重たそうに膨らんだリュックだと思っていたが、中に詰め込まれていたのはなんと小型七輪と燃料、それにソーセージであったのだ。二月の寒さが堪える中、エレノアが持って来た七輪の火は、海には――大げさに言えば――命を繋ぐ灯し火に思えた。
ぱちと炭の燃える音と、ジュウッいうソーセージの焼ける音が心地良いハーモニーとなって耳に届く。
ソーセージはいい感じに焦げ目がつき、滴り落ちる脂の匂いで口の中に自然と唾液が溢れてくる。
「……おなかすいた」
海の膝の上のあおいはうっすらと目を開けると、半覚醒のままそう呟いた。
『あおいちゃん! よかった、目が覚めたんだね』
あおいの視界に喜ぶ海の顔が飛び込んできた。それからゆっくり首を回して、七輪のソーセージをひっくり返しているエレノアで視線を止める。
「ごめんなさい。迷惑かけたよね……」
エレノアはあおいの詫びには返事をせず、口の端を上げてこういった。
「ハッピーバレンタイン、七夜さん……『なんで私の愛しの王子様じゃなくてお前なんだよ』って顔ですね?」
「そんなことは……」
「ハハハ! ……そう言えば七夜さんて好きな人いるんですか?」
あおいは面食らって口ごもる。なぜ出し抜けにそんなことを聞くのか理解できなかったのだ。エレノアだってまともな返事を期待していたわけではないようで、揶揄って楽しかったという表情でソーセージを木の枝に挿して海とあおいに差し出した。
『ありがとう』
「……いただきます」
ふたりは有難くソーセージを頬張った。戦いで疲れ、さらに夜の寒さで冷えた体に、熱々のソーセージはひどく染みた。旨いを超えて崇高とすら思うほどだ。それは、富士山の頂上で闇の中から昇りくる朝日を拝む気持ちにどこか似ていた。
ふたりがソーセージを頬張るのをしばらく見ていたエレノアであったが、やがて、残っていた生のソーセージを七輪の上に乗せ焼きはじめた。その間、海はあおいに手短にこれまでのなりゆきを教えた。
「……エレノアさん。この後どうするつもりですか?」
あおいが訊ねる。
「この後? MewTubeで推しのホラーゲーム実況配信があるので、七輪でソーセージ焼きながらスマホで見ようと思ってね」
エレノアはスマホを取り出し、ポチポチと操作すると、おどろおどろしい画面を開いて見せてきた。
不協和音が耳障りなゲームミュージックと、ぼそぼそと喋る男の声がスマホから流れ出す。
ソーセージを焼きながら、ゲーム実況を観る?
この状況で?
最初からそうするつもりで七輪とソーセージをわざわざ持って来たの?
よく意味が分からないと、海とあおいは揃って首を傾げる。
もちろんエレノアは理解してほしいなどと思ったりはしていないし、二人の反応を気してもいない。
「ああ、七輪あるなら罰ゲームもできますね」
エレノアはにこやかな表情を変えずに言った。
「罰ゲーム……? なんの?」
エレノアは言葉では答えず、くくつであった桜模様の塗り櫛と、自らがかつてつつもとの戦いの際に手に入れた牡丹の蒔絵櫛をぱっと七輪の網の上に投げ入れた。
「えっ!」
『なにをするの!?』
「何って、ほら2枚の櫛を乗せてね?」
エレノアがそう言った瞬間、漆がひび割れた櫛の姉妹の片割れがばちっと音を立て網の上ではねた。エレノアは跳ねた櫛を箸で押さえ、熱せられた網の上に押し付ける。
「『熱いよ熱いよー』って苦しんでるのかな? ハハハ!」
「そんな……」
『ひどいよ』
エレノアは愉しんでいる。あおいと海の抗議なぞ、そよ風のように心地良いとしか感じない。
「怒ってるんですか? ……試してみます? 七輪ひっくり返して櫛を拾って私から逃げ切ってこの姉妹を助けられるか……手袋無しで触って洗脳されなきゃいいですけどね?」
あおいは奥歯を噛むと、七輪をひっくり返す代わりに叫んだ。
「海ちゃん、木の枝取って! 箸の代わりにして助ける!」
海が慌てて手近にあった木の枝を探しあおいに渡す。
あおいは七輪に飛びつき、木の枝を箸代わりに櫛を拾い上げようと試みた。傀儡となっていたからこそ感じていたくくつの思い。憎しみと怒りの奥にあったのはたしかに哀しみの感情だった。
あおいの中にくくつに利用された恨みはもうなかった。むしろ救いたいと思った。
木の枝の箸で櫛を掴む。刹那、あおいを嘲笑うように、櫛からぶわりと朱い炎が噴き出す。
「あ、櫛に火がつきました。あーあ、もう少しで助けられたのに姉妹は死にました。これは見殺しにした誰かさんのせいですね? ……まあ気に病まないでくださいよ、ハハハ!」
エレノアの高笑いが森の中に谺する。
海とあおいが呆然としたまま視線を上げる。
黒々とした木々と空の境界線がうっすらと線を引く様に白めきはじめる。
夜は明けつつあった。
空気は澄んでおり冬の朝の匂いがした。
<了>
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あとがき
担当マスター:
笈地 行
ファンレターはマスターページから!
こんにちは。ゲームマスターを務めさせていただきました笈地です。
清水るねマスターの「つつもすすはらいて」が公開されたとき、
好みな妖怪バトル物だったので、ワクワク読んだのを覚えています。
まさかつづきに当たるようなシナリオを
ご依頼されるような日が来るとは思わず、
つつも~のリアクションと睨めっこしながら書かせていただきましたが
不備がありましたらご容赦ください。
るねマスターが続きなどを考えていらしたのか分からないのですが
若干過去や設定なども加えさせていただいています。
タイトルについて少々説明させていただきますと
つつもすすはらいて に因んでひらがなが良かろうと、
「傀儡(くぐつ)」+「髪鬼(かみおに)」=くくつかみおに
としてみました。
髪鬼とは女性の念から生まれた頭髪の妖怪で
切っても切っても髪が伸びるそうです。
ご依頼いただいたエレノアさん、ご参加いただいた小山内さん、ありがとうございました!
それではまた寝子島で! 笈地でした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
冒険
バトル
神話・伝説
定員
4人
参加キャラクター数
2人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年10月09日
参加申し込みの期限
2020年10月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年10月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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