キャットロードでスタンプラリーin猫の日｜リアクション

キャットロードでスタンプラリーin猫の日

☆非日常から日常へ
　スタンプカードは２つ埋まり、3つ目のためにギャラリー「Cats　GUY」に向かって歩く紗月と理緒の二人。
　傍目には同級生に見える親密感ではあるが、本来は恋人同士である。
　理緒がグラドルであるがためにスキャンダルを避けるため、距離をとっているのが逆にぎこちなさがあった。
（やっぱり、気を遣わせちゃったのかな……）
　紗月は隣で勤めて明るく、でも慣れ慣れしすぎない程度の表情で紗月を見つつ歩く理緒を見上げた。
　時折、グラビアを見ている男子中学生と写真を撮ってあげるファンサービスもしているが、その笑顔が心からでないものであることは恋人の紗月だからこそ気づける。
「ここが３番目だよね？」
　急に立ち止まった理緒に気づかづ、転びそうになる紗月を理緒の手が力強く支えた。
「大丈夫？　考え事？」
「あ、ちょっと……ね」
　自分がボケーっとしてどうすると、紗月は自分に言い聞かせてギャラリー「Cats　GUY」へと入っていく。
「いやぁ、いらっしゃい。ゆっくり見ていってね」
　オーナーである背の高いオジサマに微笑まれて、二人は画廊を歩く。本当に猫が好きなのか、和洋折衷の猫が描かれた絵画や版権の切れた名画に猫を付け足したものまで様々な絵が並んでいる。
「こういうのもいいわね、ギャラリーって古臭いものと思っていたけど描いた人の思いとか、時代にとらわれない感覚とかそういうのを感じる」
　有名な黒衣の女性が白いシャムネコを撫でている絵画を観た理緒の瞳に光が戻ってきてた。
「そうね、こういうアレンジって面白いね」
　猫が加わった名画から、猫になった名画まで様々なものを見終わったら、出口で気に入った名画のポストカードを購入してスタンプを押す。
「じゃあ、ご飯食べにいこうよ。言い出せなかったんだけど、グラビアアイドルだから体重制限とかあってさ……もう、それは明日からにするわ！」
　名画をめぐる回廊を抜けたことで、自分の殻も抜けれたのか理緒はいつもの理緒に戻ってきていた。
「うん、それで最後になるけど……」
「どうせここまで来たなら、全部回ろうよ。楽しまなくちゃね♪」
　不安げに理緒の様子を見上げる紗月に理緒は笑顔で答える。
　紗月だけが知っている本当の理緒の笑顔だった。

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