帝都異能秘匿探偵｜リアクション

帝都異能秘匿探偵

　かくして、四人は捜査のために帝都の街へと繰り出した。
「フルーツパーラーや、ミルクホールでよく見られるんだっけ？」
「そういう話だったわね」
　真白の確認にうなずいたのは、葉月だ。
「……既に出没した店には、今のところ姿を現していないのかしら」
「どうなのかな。聞きこみをしてみればわかると思うけど……特に最近よく見かける場所を探してみない？」
「そうね」
　と、今度は美野梨がうなずいた。
「少なくとも、次に現れるのは新メニューがあるとか、そういう話題の店だと思っているの」
「もしかして、さっき新聞を買っていたのはそういった広告を見るためかしら」
「ええ、そんなところ。聞きこみで目星を付けてから、さらに条件をかけて絞りこむのよ」
　なるほど、といった具合で葉月は口に手をやる。
「そこまで大きな犯罪ではないから、見逃してあげたい気もするけど……とりあえず、手分けをして聞きこみをしてみましょう」
　美野梨の発言に、夏朝は腕にはめた猫のパペットである『ハルくん』の口をぱくぱくとさせた。
「僕も、ハルくんと一緒にがんばるよ」

　　※

　手分けをして聞きこみをした四人が、再び合流して共有した情報は、このようなものだった。
　まず第一に、直近でケーシーを見かけた場所の情報。
「ああ、最近見かけるようになった異人さんかい？　あの人だったら、大通りでよく見かけるかしらねえ」
「大通りには、いくつか、フルーツパーラーがあんのさ。あの異人さんは、どうも甘いもんが好きみてえだからよ」
　次いで、ケーシー・シーカーという人物はどのような人物であるのか。
「そうさなあ。ケーシーさんは異人さんらしくってなあ、身長はおれよりも頭ふたつは高かったよ。臙脂の洋装姿でね。ああ、頭には帽子をかぶっていたよ、たしか、シルクハットとかいう」
「ケーシーの兄ちゃんと、どんな話をしたかって？　うーん。うまいもんを知らないかって聞かれたから、おれのばあちゃんが作る饅頭がうまいって話ならしたよ」
　そして、最後に。
「そういえば、大通りの近くで変わった動物を見かけるようになったんだ。猫のような犬のような……異国の動物かねえ」
　これらの情報をもとに、新聞の広告欄に大通り付近で話題となる飲食店がないかと調べてゆく。すぐに、いくつかの候補が挙がった。
　聞きこみの途中、文房具屋に寄ったという夏朝が買った折り紙に候補の店を書き連ねると、四人はそれぞれ一枚ずつを手に、目撃情報の多い大通りへと向かった。

このページにイラストを設定する