なめこ流対つちのこ流　ニンジャ大決戦の巻！｜リアクション

なめこ流対つちのこ流　ニンジャ大決戦の巻！

「さーて、ユウ君の敵を成敗しちゃうゾ」

　八重歯を覗かせながら笑う鬼河内萌はそう言って駆け出す。
　ここ最近、寝子島のニンジャ界隈ではつちのこ流となめこ流の覇権争いが激化しており、萌もまたその争いにカレーらぶニンジャとして参加しているのだ。
　そのニンジャ名の通り、萌えはカレーを操る水遁の術を得意としている。果たしてカレーは水なのか審議が必要な気もするが使えている以上はそういう事なのだろう。

「まずはこっちを有利にしないとねっ」

　後方の救護地点に美味しいカレーを用意して、その後今度は争いを見ているギャラリーに対してカレーを振る舞う。
　ギャラリーにカレーを振る舞うのは何の意味もないようでいて意味はある。何故なら、少しずつつちのこ流を応援する声が増え始めたからだ。

「ふふ、これで良し。じゃあ、ここからは本格的に頑張るぞー！」

　まずはあいさつ代わりに近くにいる敵に熱々の超激辛カレーをぶちまける。
　このカレーは熱いというだけでなく、目に沁みると言う目潰し効果と何故かとても粘々して相手の行動を阻害するという効果もある。
　一人二人とこのカレーの餌食にしていくと、萌の周囲にいるなめこ流のニンジャの足が必然的に鈍くなってしまう。しかし、これこそが萌の狙っていた事でもあった。

「そんな風に足を止めて良いのかなぁ？」

　ニンジャらしく音もなく武器であるカッターを取り出すと、敵の間を俊敏な動きで駆け抜ける。
　すると、一体どういう風にしたのかも分からない早業で敵のニンジャ衣装の一部が細切れになって風に散った。

「うわっ！？」
「きゃぁあああああっ！？」

　あちらこちらで上がる悲鳴。中には大事なところが見えそうにさえなっており、自分の身体を必死に隠そうとするなめこ流のニンジャ。男のニンジャだけでなく女のニンジャの衣装も容赦なく切り裂いたのはくノ一にお色気はお約束だと言う萌の信念が理由であった。

「むっ！」
「ちぃっ！」

　すると、萌の不意を突くようにバレーボールくらいの大きさの火球が飛んでくる。身体を捻って何とか避けた萌の視線の先には一人のニンジャ。
　再び火球を放って来るも体勢さえ整ってしまえばどうと言う事はない。何故なら、萌からすれば相性の良い相手だからだ。

「残念だけど、ボクの術は水遁なんだよね！」
「な、何ぃ！？」

　カレーを放って火球を消して見せると、敵のニンジャが驚愕の声を上げる。

「どう見てもそれはカレーだろうが！　何でカレーが水遁なんだ！」
「カレーは飲み物だから、水遁の術でOKOK！」
「ふ、ふざけるなぁあああ！？」

　しかし、幾らそう叫ぼうとも事実は変わらない。そうして火球のニンジャは萌のカレーの術に敗れ去る。

「そう言えば、ユウくんの得意な忍術ってなんだろう？　同じ水遁なら合体技とかしたいな～♪」

　周囲に敵がいなくなった事もあり萌は想い人である野菜原ユウの事が気になったようだ。
　この戦場にユウも来ているので、もしかしたら術の事が分かるかもしれないと視線を巡らせてみると、少し離れたところでなめこ流のくノ一と対峙しているのが見えた。
　ただ、どうにも相手のくノ一が凄い巨乳の持ち主で、ユウの視線がその巨乳に向いているように萌には見える。実際はどうか分からないのだが、萌からはそう見えてしまったのだ。

「……フゥン」

　その瞬間、萌の瞳にはまるでこの世の物ではないかのような輝きが宿る。例えるならば地獄の炎の如く熱さと冷たさを兼ね揃えているかのような輝き。
　そこから先、この戦場で戦いがどうなったのかを語る人はいない。ただ、地面や壁などありとあらゆるところにカレーが刻まれた事だけが事実を示していた。

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