なめこ流対つちのこ流　ニンジャ大決戦の巻！｜リアクション

なめこ流対つちのこ流　ニンジャ大決戦の巻！

　魔法少女に寄ったくノ一装束に身を包む落合まゆらはなめこ流忍軍所属のれっきとしたニンジャだ。
　とは言え、あくまでもまゆらからすればニンジャは副業に近い。まゆらの本命はまだ志望の段階ではあるものの声優なのだ。
　ただ、副業だと言うにはあまりにもその活動は本格的であったが。それにはMewtubeの動画配信でそれなりの稼ぎを得れているというのもあるのかもしれない。

　因みになめこ流は規律に厳しい事で有名なので、Mewtubeの動画配信もかなり注意しているのだが、頭領にはしっかりとバレていたりする。
　厳しいと言いつつもきちんと役目を果たしている場合にはある程度の温情を下す事はあるらしい。

「あら？」

　いつものようにMewtubeでの動画配信の準備をしていたまゆらの元に文が届く。術によって作られたその文は見てから一定時間すると消えてしまうもので、なめこ流の頭領が指令を下す時に使用しているものだ。
　まゆらは文を開いてみると、鈴島でつちのこ忍軍の連中が良からぬことを企んでいるので、その企みの内容を探って来てくれと書かれていた。

「これまた急ね。抗争が本格的になっちゃったから仕方ないけど」

　しかし、良からぬ事を企んでいるとあっては放ってはおけない。まゆらはくノ一装束へと着替えて早速鈴島へと潜入しに赴くのだった。

「……よし」

　魔法少女風のくノ一装束という目立つ服装にも関わらずまゆらは誰にもばれずに潜入する事に成功する。
　この潜入成功率の高さ故にまゆらへと潜入の指令が良く下されるのだ。
　足音を消し自らの存在感を空気と同じように薄くしたまゆらが、暗がりから暗がりへと移って移動する。

「これは……合宿しているの？」

　鈴島内のあるところで発見したのは、まるでつちのこ流のニンジャ達が合宿をしているような光景。
　だが、何か腑に落ちない物をまゆらは感じてしまう。その違和感はこの合宿場より奥は今までよりも警戒が強い事に起因している。そう、まるで奥にあるものを隠そうとしているかのようなのだ。
　この合宿の光景はそれをカモフラージュする為だけのものなのではないだろうか？
　
　そう判断したまゆらは更に奥へと進む事を決意する。
　強い警戒の中、慎重に進んでいく。そして、かなり奥のところでつちのこ忍軍が小規模ながらもかなりしっかりとした拠点を設置している事が分かった。

「これは……？」

　暫く周囲を警戒していると、ある事が判明した。

「うーん。どうやらあの拠点の中で何かを作っているみたいね……」

　流石に何を作っているのかははっきりと分からなかったが、なめこ流との戦いを有利する為の何かであると言う事だけは分かった。

「できれば何を作っているのか確かめたいけど、今は無理ね」

　まゆらは中に入るのは諦めてここから撤退し頭領へと情報を持ち帰ろうと判断するが、少しだけその判断が遅かった。

「誰だっ！」
「くっ！」

　まゆらへと手裏剣が飛んできて、ジャンプ一閃でそれをギリギリのところで躱す。

「これはこれは、随分と可愛らしいお客さんだな」

　まゆらを見つけたニンジャは彼女を見てそう言う。まるで舌なめずりでもしていそうなその言葉にまゆらは嫌悪感を隠さずにはいられなかった。

「やれっ！」
「えっ、キャアッ！？」

　互いに隙を伺うように対峙をしていたが、先に動いたのは相手のニンジャだった。
　突然周囲から木の根のようなものが無数に出て来て、まゆらの手足や身体に絡み付いたのだ。

「ほほう。中々良い身体をしているじゃないか」

　絡み付いた木の根によって強調されてしまう胸にニンジャの視線が集中する。これだから下衆な男はと思いつつ、まゆらはその隙を逃さない。

「はっ！」

　いつの間にかまゆらが取り出していたドライヤーから火が吹く。これこそ彼女の火遁の術である。

「グワァアアッ！？」

　木の根とニンジャの両方を焼いたまゆらは、直ぐにその場を離れた。
　そして、まゆらを捕らえようと次々と刺客が襲いかかって来たが、何とか追手から逃げ切り頭領へと情報を渡す事に成功したのだった。

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