なめこ流対つちのこ流　ニンジャ大決戦の巻！｜リアクション

なめこ流対つちのこ流　ニンジャ大決戦の巻！

「どーも。えーと……猫さん大好きニンジャ、かさねこです！」

　ニンジャとなった恵御納夏朝は自らの術で呼び出した猫にそう挨拶していた。
　かさねこである夏朝の得意忍術は猫シールを張ったところから猫を呼び出す事が出来る猫遁の術。しかし、夏朝のこの術には呼び出した猫が言う事を聞いてくれるとは限らないという欠点が存在していた。
　その欠点を克服し、更なる高みへと昇るべく夏朝は日々修行の毎日なのである。目指すは猫遁の術マスターと言うわけだ。

「僕の推測ではこの術を極めるともっと沢山の猫さんを呼び出す事が出来て、お喋りする事も出来て、他のニンジャを猫さんにする事もできるはず！」

　そうしたらもうそれは猫猫パラダイス。楽園はここにありとなる筈だと夏朝は考えていた。
　その考えを正しいものとする為に、今日も夏朝は日常生活の合間に修行を兼ねて人助けや猫助けを行っていく。

「うんうん、ありがと」

　誰にも感付かれないようにして物陰でキジトラの猫にお礼を言うと、夏朝は立ち上がって振り返る。そこには困ったように何かを探す女子生徒の姿があった。この女子生徒は落とし物をしてしまいそれを探している最中なのだ。
　そこで夏朝は呼び出した猫達に頼んで落とし物を探して貰っていたのだが、無事に猫達が見つけてくれたのだ。
　場所はここからは少しだけ離れているところにあるらしいが、それならそれでたまたま見つけたという風にする事は幾らでもできるだろう。その後、落とし物を拾った夏朝は女子生徒へと無事にそれを届ける事に成功するのだった。

　その後も、迷子になっている子猫を見つけたので猫達と共に家を探してあげたりと夏朝は結構忙しかったりする。
　しかし、人や猫の助けになる事ならば嫌がる事はなく、そんな姿を見た猫達は順調に夏朝に懐いていく。

「来年には受験だからちゃんと勉強していかないとなぁ」

　手伝ってくれた猫へとお礼のおやつを上げながら呟く夏朝。それは学生の本分であり将来の為にも必要な事。故に夏朝としても疎かにするつもりはないようだ。
　とは言え、だからこそたまに猫さんに癒される事も必要だと考えているようだが。

　そうしてそんな事を考えていると、猫さんから一つの情報がもたらされた。
　それはこの寝子島におけるニンジャ界を揺るがしている大乱闘の件であった。

「なめことつちのこ？」

　正確にはなめこ流忍軍とつちのこ流忍軍である。
　どうやら猫さんが言うには、その二勢力の争いは寝子島の色々なところで行われているらしく、この辺でもつい最近あったらしく危うく巻き込まれそうになったのだとか。

「争いかぁ」

　夏朝としてはそういうのはあまり興味がないので、基本的には関わらないスタンスでいるのだ。
　ただ、それとは別に思っている事もある。

「そんなに沢山のニンジャがいるならどっちも可愛い猫さんにできたらいいのになぁ……」

　そう。猫遁の術を得た夏朝は本気で全てのニンジャ達を猫さんにしたいと考えていたりする。そうすれば両派閥による争いもなくなって夏朝はパラダイスを楽しめる。正しく良い事だらけではないかと。

「よーし！　頑張って猫遁の術をマスターするぞー！」

　握りこぶしを作り改めてそう宣言する夏朝。
　しかし、猫遁の術を極めたとしてそう言う術が使えるようになるかは決まっていない。ただ、もし仮に使えるようになったとしたら。もしかしたらその日が寝子島のニンジャ界の終焉の日なのかもしれない。

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