携帯戦記カプセルギア　冬だ！バトルだ！カプギア甲子園だ！｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　冬だ！バトルだ！カプギア甲子園だ！

　もう一方の戦いはすでに佳境であった。
　凛太郎の『ベレロフォン』にかまっていた、『ピスケサイズ』に向けて『トライアルγ』からチャージ完了した波動砲が放たれる。
「ボ、ボスッ！　危ないっ！」
　かばうように『ウォーロックス』が体当たりするようにぶつかり、ピスケサイズの代わりに波動砲を一心に受けた。
「だから、ボスじゃないって……ッ！」
　飛鳥は突っ込みを入れれない被害状況に言葉を失う。
　フィールドの浮島となっていた足場はなくなり、ウォーロックスの堅いボディは崩れて水中に沈みだしたのだ。
「これぞ蹂躙……再チャージ」
　スピカは無表情を崩すことなく、飛行形態になってチャージ時間を稼ぐように飛び回る。
「これはまた派手にやったね」
　水中ステージであり、水中の機動力の高いフェニックスが優勢と思われた状況ではあったが、圧倒的破壊力で不利を抑え込んでいた。
「……っと、さすがに仕事しないわけにもいかないかっ！」
　蒼は一人ごちると、残り2体の排除に向かう。
　飛鳥のピスケサイズは水中に向けたカスタマイズ性の高い機体であり、デコイも水中までは移動ができないため、水中戦用にカスタマイズしなおした蒼の『Diablo Azul』が狙っていく。
「イワオの仇はオレっちがとりますぜ、姉御！」
　ベレロフォンに向かって、『エレクトロマウス』が水中ステージに浮いている足場を使って移動をしながら、雷撃を飛ばした。
「なかなか、そちらもやるね……でも、僕らのペアにはかなわない」
　空中に飛び上がりながらも、リロード可能な弓で牽制している合間にエレクトロマウスの周囲にはトライアルγが放っていたデコイが集まってきていた。
「自爆……」
　スピカの一言で連鎖爆破が起こり、エレクトロマウスも沈む。
「ちぃっ！　ほんとに強いわね！　アンタたち！」
　水中では飛鳥と蒼が高速でぶつかりあっていた。
「これの水中用機体同士の高機動戦闘はなかなか見れない試合だぁぁ！　さぁ、勝つのはどちらだぁ！？」
　ピスケサイズの鎌とDiablo Azul のレーザーソードがぶつかりあったとき、鎌の方にヒビが入り、砕けた。
　戦闘での酷使とかばわれても余波がパーツにダメージを与えていたのである。
「隙ありっ！　ここはもらうよっ！」
　Diablo Azul のレーザーソードがそのままピスケサイズを横一閃で切り裂いた。
「試合終了！　勝者はチーム『星鷹』だぁぁぁっ！」　
　カプギア仮面の勝利者宣言に歓声と拍手が沸き上がる。
「さぁ、もう一つの準決勝はまだ続いているようだ。そちらを見てみよう！」
　大型ビジョンの表示が切り替わった。
　大会の様子が隣の会場に移る中、飛鳥はボロボロに傷ついた自分のカプギアを大事そうに拾い上げて、釣り目がちな目をさらに吊り上げた。
「今日はね、運が悪かっただけよ！　次は勝つわ！」
　ビシッと指を突き出し、蒼に再挑戦の意思を向ける。
「いい試合ではあったよ。こっちも味方のペアがよかったしね」
　蒼は飛鳥の視線を受け止め、握手をしようと手を差し伸べた。
　二人に倣うようにスピカと凛太郎も、ライやイワオと握手をする。
　どんな結果になろうと、戦いが終わればやはりカプギアを愛する強敵（とも）なのだ。

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