寝子島シーサイドアウトレット　冬のクリアランスセール！｜リアクション

寝子島シーサイドアウトレット　冬のクリアランスセール！

「十分注意するのよ？」
「うん」

　曖浜瑠樹は寝子島シーサイドアウトレットに両親と共に遊びに来たのだが、両親がセールと言う名の戦いに身を投じる為、別行動をする事になったのだ。

「いってらっしゃーい！　気を付けてなぁー！」

　ぶんぶんと元気よく両親に手を振る瑠樹。両親もまた振り返って笑顔で手を振ってくれた。
　そうして両親の姿が見えなくなったところで、まずはのんびりしたいからと広場へと向かう事にしたようだ。

「アウトレットの中はぬくぬくで良いねぇ」

　まだまだ冬は明けずに外は寒いが、アウトレットの中は暖房によって暖められている。ゆっくりと過ごす事は十分にできるだろう。

「あれぇ？」

　目的地である広場へと着いたのだが、どうにも雰囲気がおかしいと瑠樹は感じた。何だかいつもよりも随分と人が多いのだ。
　どうしたのだろうとあちらこちらを見ていると、柱に貼ってあるポスターが偶然視界に入る。どうやら着ぐるみショーやヒーローショーの宣伝ポスターのようだが、問題は日付にあった。何と今日ではないか。

「えっ、着ぐるみショーやヒーローショーもあるのかねぇ？　いいねぇ、どっちも見たいなぁ！」

　ポスターに記されている時刻はもうすぐ。どうやら最初は着ぐるみショーがあるようで、これはいけないと瑠樹は慌ててステージの方へと向かった。

「おぉ～」

　まず始まったのは着ぐるみショーだ。所謂ゆるキャラと呼ばれる者達や動物の着ぐるみ等、可愛らしい着ぐるみが所せましと現れて子供達のところへと歩み寄っていく。
　勿論、瑠樹のところにもきたので瑠樹はモフモフなその身体に思いっきり抱き付いてみたり。

　着ぐるみショーが終われば今度はヒーローショーの番だ。
　今やっている日曜のヒーロー達が現れて、怪人達と激しいアクションを繰り広げる。ステージの左から戦闘員が武器を持って走ればそれをヒーローが華麗に迎え撃つ。
　パンチからの豪快な回し蹴りに子供達のみならず一緒に来ている大人からも驚きの声が上がった。
　そして、ヒーローショーの定番と言えば子供達による声援。複数の怪人による攻勢でピンチになったヒーローへ皆で声援を送るのだ。

「がんばれぇー！」

　ステージの傍で子供達に呼びかけるお姉さんの合図に合わせて瑠樹も大きな声で応援をする。
　すると、その声援を受けたヒーロー達が立ち上がり、必殺技で見事怪人を倒すのだった。

「やったぁー！」

　着ぐるみショーとヒーローショーに満足した瑠樹はお昼をハンバーガー屋で食べる事にしたようだ。注文したのはにゃっぴーセット。
　実のところ、瑠樹がこのハンバーガー屋に来たのは大きな目的があったからなのだ。このにゃっぴーセットには子供向けのオマケがついていて、それが可愛いぬいぐるみなのだ。
　にゃっぴーセットと一緒に届いた猫のぬいぐるみを見て満面の笑みを浮かべる瑠樹。どうやらそのぬいぐるみがとても気に入ったようである。
　勿論、ハンバーガーも美味しく食べようとかぶりついたところで違和感を感じる。先程までの笑顔が一転して曇ってしまっていた。

「うー、ピクルス……しゃりってするぅ……」

　そう。食べれないというわけではないのだが、瑠樹は野菜全般をやや苦手としているのだ。しかし、それでもピクルスを除外せずに食べる辺り教育がちゃんとされているのかもしれない。

「これを食べれば後はおいしく食べれるよぉ……」

　と、呪文のように呟きながらハンバーガーを食べる瑠樹の姿が暫くあったのだった。

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