寝子島シーサイドアウトレット　冬のクリアランスセール！｜リアクション

寝子島シーサイドアウトレット　冬のクリアランスセール！

「さて、どうしましょうか」

　寝子島シーサイドアウトレットへとやって来て白石妙子は今日の予定を考えていた。
　何せ今日ここにやって来ているのは妙子一人なのだ。荷物持ちがいない以上はあまり多くの物を買う事は出来ずに考える必要があるというわけだ。
　本来ならば息子を連れてくる予定でいたのだが、息子は友達と遊ぶと行って出かけてしまったのだ。本当にそんな予定があったのかは分からないが、子供はバーゲンセールを嫌がるし、四年生ともなると親とあまり出かけたくないというのも理解はできるので仕方ないと妙子は思っていた。

「うーん……とりあえず、UNISHIROに行きましょう」

　子供の服でそろそろ買い替えた方が良い物が幾つかあるので、それを買う為に妙子はUNISHIROへと向かう。
　しかし、今日の寝子島シーサイドアウトレットの様子を見て少し不安な事が妙子にはあった。それは人混みが苦手と言う事だ。これほど混んでいるとなると良い物を手に入れる事ができるかどうかが怪しい気さえしているのだ。

「うわぁ……」

　その妙子の不安が現実の物となるようにUNISHIROでも多くの人で混みあっている。最早その有様は戦場と言う方が正しいかもしれない。たまに怒号が聞こえている事だし。
　この中に突っ込まなければ行けないと思うと憂鬱になってしまう妙子だったが、突っ立っていても始まらないと意を決して突っ込む。そして、押し戻される。再度突っ込む。やはり肉の壁に押し戻される。

「きゃっ！」

　そして、新たな肉の波に呑まれて弾き飛ばされた。

「これは、やっぱり無理かしら……」

　あまりにも強烈。あまりにも強靭。妙子にはこの肉の壁にして波をかぎわけるだけの力はなさそうだ。
　諦めて一旦人のいないところに行ってみるもそこにあるのは売れ残った残念なデザインの服ばかり。流石にこれを学校や外に着せて行かせるのは無理だと溜息をついた。

「仕方ない。今日は靴下を買っておきましょう」

　靴下のコーナーは比較的空いていたので、悪くないデザインの物をあっさりと購入する事ができた。

「SPORTS NECOの方ならもう少しすいてるかしら？　ジャンパーとか手袋とか欲しいのよね」

　そして、SPORTS NECOへと向かってみたところ、UNISHIROに比べれば随分とマシな状況であったので商品を見て回る事にしたようだ。

「あ、この靴下厚手でいいわ」

　見て回っている最中に目についたのは一足の靴下。厚手の物で冬履くには暖かくて良さそうだった。そう、先程買った物よりも。

「……さっき無理に買うことなかったわね」

　だけど、四年生になった息子は運動も良くするので靴下は良く破ける。だから、予備と考えると先程の靴下も悪くはないだろうと思い直す。無理やりにでも。そうでもしないとやっていられないから。

「はぁ……。疲れたわね」

　SPORTS NECOにて靴下を含めた商品を購入した頃にはすっかり妙子は疲れ切ってしまっていた。苦手な人混みの中をずっと歩いていたのだから無理もない事だろう。

「お昼はハングリーキャットで定食にしようかな。食べ終わったらニャレッジヴァンガードも見ていきたいわ」

　昼食とその後の予定を考えながらハングリーキャットへと向かう。
　こうしてバーゲンセールでの主婦の大変な一日は過ぎ去っていくのであった。

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