双界からの試練　―鋼竜女皇フェラマ―｜リアクション

双界からの試練　―鋼竜女皇フェラマ―

起：始まりは、銀の熱風と共に

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( 'ㅅ')＜僕だ。

（……つっこまないぞ、俺は）
　黒曜石がてらりと輝くアリーナの上。今回も着ぐるみさん（旅鴉月詠）は健在だった。今回はうさぎの着ぐるみに『たこぐるみーたん』という混沌姫のお土産を装備。防御と敏捷が上がるためのチョイスらしい。
　この『たこぐるみーたん』だが、うさぎの着ぐるみなのに頭にタコの被り物をしている。非常に目立つ！！
　ちなみに、近くで何かを我慢していたのは、夜海霧楓である。彼は急にこのゲームの世界に転移したものの、何度目かな為少し慣れたようだ。しかし、悩みの種が……！
「カエデのプレイを見てたら、トワも何故かゲームに入れたのデス！　がんばりまス！」
　ぐっ、と両手を握りしめた愛らしい少女、トワ・E・ライトフェロゥを見、楓は少しだけ頭痛を覚えていた。
（本当は、もっと楽しみたいが……）
　傍らで「これが移動、こっちがスキルデー……」と操作を確認するトワの姿を見、こぶしを握り締める。
（お嬢が紛れ込んでるんで、悪いが本気で倒させてもらうぜ。【捕縛】は全力で阻止させてもらう）
　袈裟をかければ僧兵に見えなくもない出で立ちの楓は一人決意を固める。
　そんな彼は今回拳闘士のようだ。
（すっかり愛刀と化した『影鴉』は今回使えないんだが、特別レイドじゃ無けりゃこっちが本職だからな）
　と、彼が色々と試しつつ様子を見ていると、トワは楽しそうにはしゃいでいるようだった。「羽があってモ高くトベナイ、です？」と言いながらもめちゃくちゃわくわくしているようだ。
「ねこみみとわーで頑張るマス！　スーパープレイを魅せてやるのデス！」
（お嬢のゲームの腕ってどうだったかな）
　やる気満々のトワを見、楓はちょっと心配になった。ちなみにトワのゲームの腕については……アクションゲームで最初のステージをクリアできないあたりでお察しください。
「あなたも、拳闘士？　一緒だね！」

　そう楓に言ったのは、溌剌とした様子の羽生碧南である。彼女はSOCの特別レイドで何度か拳闘士を務めている。中々腕の良いプレイヤーだ。
「お互いがんばろう」
「うんっ！」
　楓と碧南は拳をぶつけ合い、互いの健闘を祈る。……と、そこにインラインスケートを装備した同職らしき少女の姿が。
「んー、器用度が高いみたいだけど、武器は手足に装備できるのかな？　可能ならナックルも……、そっか出来ないのか……」
　初心者のようだ、と判断した２人は彼女にアドバイスするべく歩み寄る。
　年末年始のキャンペーンでSOCをはじめた稲積柚春は、２人から色々アドバイスをもらい、ちょっとだけ安心した。
「操作手順は読んだけど、攻略サイトは見ていないんだ。……まぁ、殴られる前に殴ればいいんだよね？」
「まぁ、拳闘士ってそういうプレイの人多いかもしれない。器用度高めだし敏捷度を高める人もいるし」
碧南の言葉に、柚春はやっぱり？　と瞳をちょっと輝かせた。
　一方、操作を確認するトワにも話しかける者がいた。何度目かのレイドに挑む恵御納夏朝だ。

「もしかして、はじめて？」
「Yes！　トワ、がんばりまスっ！」
　テンションとやる気を高め元気にお返事するトワを微笑ましく思いながら、夏朝は考える。
（もしかしたら、色々アドバイスしたほうがいいかも）
　夏朝はトワに可能な限りアドバイスし手分けして回復しよう、と考えるのであった。

　ノリノリでギターを奏でる着ぐるみさん。その曲に合わせ踊るのは……フェラマ本人だ。流石に竜族だけあって体高が２７ｍもある。色々とでかい。
　その姿を不思議そうに見つめていた少年、曖浜瑠樹はふんにゃりとした笑顔でこてん、と首を傾げた。
「ん？　あれぇ？　ここはどこかねぇ？」
　ギターを奏でる着ぐるみさんはひょこっとウィンドウを呼び出し『ここは黒曜石闘技場だよ』と教え、瑠樹は瞳を輝かせる。このゲームを自宅で時折遊んでいた彼は、ゲームの世界に来たことに少々興奮しているようだ。

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