双界からの試練　―鋼竜女皇フェラマ―｜リアクション

双界からの試練　―鋼竜女皇フェラマ―

　
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「……はぁ……」
　途中で倒れた柚春は、フェラマによって回復された自分の分身を見、小さくため息を吐いた。だが、戦いの余韻で火照った頬は、今までの事が本当であることを語っている。
「なんだか、とってもすっきりしちゃったな」
　彼女はそう呟き、小さく微笑んだ。

　だが、彼女は……妙な事に気付いた。自分の身体に小さなノイズが入ったのである。そして、画面にこんな文字がテロップとして浮き上がる。

だめだ、妨害されて連れ去らうことが出来ない

（な、何の事だろう？）
　不思議に思った柚春は、後ほどゲーム会社に質問のメールを送ってみることにした。
　しかし、会社からは『現在調査中』という内容のメールが送られてきただけだったがこの話を聞いた一部の者は……そのノイズとテロップに興味を示したようだ。

　そして数日後。
　『SOC』のサイトでは『修行場』のコンテンツが解放された。

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　――？　？　？：英知の部屋

「勝ちましたね」
「あぁ……」
「しかし、フェラマもそういう事は早く話して欲しいさね……」
「仕方ないでしょう。彼女たち竜族は強い者にしか協力しませんから」
「……ともかく、次の準備を頼むよ」
「承知しました」
「俺の方は、ちょっと調査してみようと思う。『混霊界』と『ゲームの世界』という言葉が気がかりだ」
「もう、無茶しないでよね？」
「私たちは引き続き、冒険者たちを鍛えましょう」

　彼らはもう、無関係ではいられないのだから。

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（悔しいけれど、これはいい経験でした）
　夢から覚めた吉住志桜里が眼を開けると……、パソコンにいくつものスクリーンショットが送られていた。それが、フェラマと冒険者たちの戦いである。
「これはこれで、派手にやりましたね」
　志桜里は、くすり、と笑いながらそれらに見入る。だが、同時に……誰かに見られているような気もしていた。
　不思議に思いながら振り返るも、部屋には誰もいない。首をかしげる志桜里であったが、彼女は再びスクリーンショットを見て思い出に浸るのだった。

　――彼女を見る影に、気づくこともなく。

（終）

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