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夜が始まる
ある一夜の夢物語
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見悶えるような巨木が生えていた。枝は不自然に捩じれ、他の木々と揉み合うように絡み付く。大きな葉は陽光を撥ね退け、僅かな光しか許さない。
とても黒く、深い森だった。奥を見渡すことは叶わない。人々は一目で引き返す。
森の魔女、
常闇 虚
には快適な空間であった。美しい精巧な人形達の寵愛を一身に受けて無限に等しい時を生きていた。
虚は館のテラスで紅茶を楽しむ。側には美しい人形が慎ましい顔で控えている。青い髪には黒い薔薇を付けていた。
「予感がするわ」
赤い唇が蠱惑的な笑みを作る。被っていた三角帽を赤い爪で軽く押し上げた。胸元を飾る怪しげな色の宝石を指先で弄りながら暗がりの一点に微笑み掛ける。
「愛に飢えた迷い子がくる、そんな予感が」
控えていた人形が微かに震えた。虚は黒く沈んだ目で、ふふ、と笑って立ち上がる。
「少し散歩をしてくるわ」
黒い衣を身に纏い、ふわりと跳ぶと闇に溶け込んでいった。
荒れた細い道を
花風 冴来
は延々と歩いた。純白のメイド服は薄汚れ、スカートの一部は枝に引っ掛けたように裂けていた。白くて細い脚がちらちらと覗く。
目の前に黒い森が見えてきた。冴来は足を止めた。来た道を振り返る。街は遠くなり、周囲の木々に呑まれていた。
冴来は頭に装着していたホワイトブリムを剥ぎ取り、地面に叩き付けた。頭を軽く振ると髪の結び目が解けた。金色の長い髪に添えられた青い薔薇は掴んだものの、これだけは、と儚げな笑みで手を離した。
冴来は暗い森に憂いを秘めた青い瞳を向ける。
「今の私に、帰るところはないわ……」
身を差し出すように森へと入る。
直後に光が奪われた。鳥は死に絶えたのか。限りなく無音に近い。
自身の立てる足音だけが、やけに大きく聞こえる。頻繁に足を止めて、それとなく周囲を窺う。
「恐ろしい魔女がいても、今の私には……」
怒りを滲ませた表情で一歩を踏み出す。続けて一歩。緩やかに加速させた。
「もう、私には何も――」
言葉を途中で噛み千切る。溢れる感情に任せて奥の領域に踏み込んだ。
乱れる息を無視して冴来は歩き続けた。その足取りが徐々に重くなる。疲労が森を沼地に変えた。
「ここは、どこ?」
迷子の子供のように弱々しい声を漏らす。心細く、身を縮めて歩いた。
乾いた音を耳にした。冴来は一方に目を向ける。
「……あなたは誰?」
問わずにはいられない。黒い三角帽に同色の衣を身に纏う。長い黒髪で肌は異様に白く、全てを見通すような目で見詰めてきた。
虚は街で噂されていた魔女の姿に酷似している。
「私は散歩を楽しんでいる者よ。こんなところに一人でいると悪い魔女に食べられるわよ」
「別に、いいです。世界に嫌われた私には、もう、帰るところはないから」
「前にも聞いたことが。そう、あれは数百年前、口減らしの目的で森に棄てられた女の子の言葉だったかしら」
「数百年って、まるで……」
途中で声を失う。虚は片頬に手を当てて笑っていた。赤い唇は甘い毒を吐いているのか。冴来の思考を鈍らせる。
「魔女に食べられてもいいのよね?」
「いいです」
「それなら、いらっしゃい」
虚は冴来の髪飾りに目を留めた。
「……私の青薔薇」
虚は背を向けて歩き出す。冴来は恐々とした様子で付いていった。
前方の光が二人を照らす。先に虚が踏み込んで踵を返し、冴来を笑顔で待ち受ける。
「ここが森の魔女、私の館よ」
「やはり、あなたが魔女なのね」
眩しそうに目を細めた冴来は虚ろな笑みで光の中に入っていく。
「……信じられない」
語尾が震える。
開けた場所は光に満ち溢れ、恩恵を受けた花々が季節に関係なく咲き乱れていた。辺りには甘い香りが漂う。
冴来は驚いた表情で虚を見詰めた。
「魔女さんと、同じ匂いがする」
「そう、喜んでいいのかしら」
虚は美しい花々に囲まれた姿で笑った。
暗い森の中の印象が瞬く間に崩れ去る。冴来は見惚れたようになり、素敵、と呟いて下を向く。白い頬がほんのりと色付いていた。
「嬉しいわ」
虚は冴来の両頬に掌を当てて優しく掬い上げる。澄んだ青い瞳を覗き込むようにして顔を近づけてゆく。
冴来は震えながらも目を閉じた。固い蕾のような唇が僅かに開く。
頬と頬が触れた。その状態で虚が囁いた。
「館でくつろぐ前に」
ふわりと離れると虚は館に向けて手を打ち鳴らす。上部が丸いアーチ状の扉は音もなく開き、白いゴシック調の服を着た三体の美しい人形が現れた。
虚の前で頭を垂れると揃って動きを止めた。
「この娘、青薔薇に湯浴みと着替えを。私はテラスにいるわ。身なりが整ったら連れてくるように」
三体の人形はスカートの裾を軽く摘まんだ。
「え、私!?」
展開の早さに付いていけない冴来を人形達が速やかに取り囲む。心の準備が、と慌てふためく状態で館の中に連れていった。
虚は笑って見送るとテラスに移動した。待機していた人形が新たなティーカップに熱い紅茶を注ぎ入れる。
「黒薔薇、私の予感は当たったわ」
その声に反応を示さず、軽く椅子を引いた。虚が座るタイミングに合わせて元に戻す。
「青薔薇、どこまで美しくなるのかしら」
ティーカップの紅茶を口にする。煌びやかな花々に甘い笑みを浮かべた。
一面の花畑に適度な風が吹く。花々は頭を揺らし、噂話に興じているようだった。
遠慮がちな足音が近づいてくる。虚の視線が流れた。
「少し、恥ずかしい」
冴来は顔を横に向けた。白い首に青い薔薇の刺繍が入ったチョーカーが巻かれていた。胸元には大きな瑠璃色の蝶が羽を休めている。中心には白いカメオが収まり、中の白い横顔の人物は寂しげな冴来を思わせた。
ゴシックドレスの袖の部分は青く、他は白い。下に穿いたパニエは青でスカートの先端に彩りを添えた。
「青薔薇には鮮烈な青と無垢な白が似合うわ。少し乱れている髪は私の手で整えてあげる」
虚はティーカップをソーサーに戻して立ち上がる。冴来の後ろに控えていた人形が恭しく櫛を手渡した。
「青薔薇に椅子を」
人形によって円形の椅子が用意された。冴来が座ると虚は後ろに回った。金色の髪を掬い上げて櫛を通す。
「青薔薇、あなたはもっと輝けるわ」
「魔女さん、聞いてもいい?」
「青薔薇の好きなように」
「……いつ、私を食べるの? 実験台にしたあと?」
「さあ、いつかしら」
虚は両手を冴来の首の横に近づける。赤い唇が物欲しそうに開いた。
「……もう少し可愛がったあとに考えるわ」
両手は左右の肩に置かれた。耳元に赤い唇を近づけて囁く。僅かな空気の揺れを感じた冴来はくすぐったそうにして笑った。
二人の生活は続いた。晴れた日は花畑に囲まれてランチを楽しんだ。
冴来は最大の感謝の気持ちを込めて手作りの花冠を贈った。虚は手にして、似合うかしら、と笑いながら躊躇いを見せる。
「お願い、被って見せて」
冴来が愛らしく手を合わせると、虚は三角帽子を脱いだ。漆黒の髪に色鮮やかな花冠が際立つ。
「花の女王様みたい」
「私は森の魔女よ」
二人は目で語り合い、共に笑った。
嵐の夜。叩き付ける雨で窓がカタカタと震える。
心細くなった冴来は虚の寝室を訪ねた。
「一緒に寝てもいい?」
「おいでなさい」
天蓋付きのベッドで横になっていた虚は掛けていたシーツを大きく開けた。冴来は小走りで向かう。ベッドの縁に座ると横になり、背中から近づいていった。
シーツを掛けた虚は同時に後ろから優しく抱き締める。
直に伝わる温もりに冴来は笑みを浮かべた。すぐに考え込むような顔でぽつりと言った。
「魔女さんは優しい。街の人とは違う。でも、怖いかもしれないって、思うこともあるの」
「私は暗い森に何百年もいる、魔女だからね」
「でもね、これも本当のことで、ずっと一緒にいたいって思うの。ダメ、かな?」
虚は答えず、不安げに震える冴来の頭を撫でた。
「ずっとここにいなさい。あなたは私の青薔薇なのだから」
「ありがとう、なんか、安心したら……眠くなった……みたい……」
寝息を立てる冴来の頭を尚も撫でる。
「あなたの空っぽの心に愛が満たされて、人の時間を止めたくなった時に、あなたは私の真の青薔薇になれるわ。あの、黒薔薇のように。そうならないと森の獣に食い千切られる。足を踏み入れたら二度とは出られない。ここは魔女の森なのよ」
ふふふ、と虚は愛情の籠った目で冴来を見詰めた。
嵐の夜、二人は深い眠りに落ち、途轍もなく長い夢から覚めた。その弊害は出会った時に表れた。
「魔女さん」
「青薔薇」
ほぼ同時に口にした。夢で見た花畑の時と同じように共に笑った。
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あとがき
担当マスター:
黒羽カラス
ファンレターはマスターページから!
長い夜が明けて朝を迎えました。
夢の印象が強かったのでしょう。
誰も夢の内容を忘れていませんでした。
夢の内容には制約がほとんどなくて自由に行動ができました。
現実はちょっぴり厳しくて思い通りに事が運ばなかった人も。
中にはあまりに夢が長くて夢の住人になっていた人達もいました。
夢ではありますが、記憶はちゃんと残っています。
楽しい思い出の一つとして加えていただけると嬉しいです。
皆さんの素晴らしい夢の内容のおかげで、
今回も読み応えのあるリアクションになりました。なりましたよね?
ご参加いただき、ありがとうございました。
また別のシナリオで会いましょう。
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担当ゲームマスター
黒羽カラス
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
バトル
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年05月05日
参加申し込みの期限
2020年05月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年05月12日 11時00分
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