推理ゲーム『ねこじま人狼』6th｜リアクション

推理ゲーム『ねこじま人狼』6th

●　裁判

　梢がらっかみから占い師に主張を変えたことで、風向きが変わった。
　真の占い師であろうと思われていた美野梨に、人外の疑惑が浮上したのである。
　話し合いの序盤は正体を隠していた楓が、
「さっさと明かした方がいい、っつーのは俺もそう思うんでもうちょい情報を出してからにしたかったが」
　と前置きして、
「俺は【らっかみ】だからぶっちゃけ二人同時に吊んでくれていいぞ」
　と発言したあとから、らっかみ二人吊り案に全体のムードが動いていく。
　らっかみ二人を1日目に吊って、２日目の朝に狐の疑いのある梢を占ってみてはどうかというのだ。
　梢だけが最後まで神野・夜海霧の二人吊りを主張していたが、騎士を主張するサキリの取りまとめで桐子と楓に三人ずつ投票し二人吊りする方向に進んだところで＜１日目＞の話し合いは時間が来た。
「私の屍を越えてゆけ！　せめて爪痕をのこそーじゃないですか！　ではでは、悪い狐は予定通り。コン！」
　梢が最後に遠吠えする。

「それでは、彼の者こそ人狼、と思う人物をそれぞれ指差してください」
　ゲームマスターのエムアの指示で、６名のプレイヤーは一斉にこれぞと思う人物を指差す。

　神野美野梨は、夜海霧楓を。
　サキリ・デイジーカッターは、古尾桐子を。
　志波拓郎は、古尾桐子を。
　古尾桐子は、夜海霧楓を。
　屋敷野梢は、神野美野梨を。
　夜海霧楓は、古尾桐子を。

　最後のあがきというように、梢が票をずらして来た。
　これに驚いたのは二人吊りで死なばもろともと思っていた楓であった。
「生き残った、だと……？」

　エムアは一同を見渡すと宣言した。
「古尾桐子さん３票。夜海霧楓さん２票。神野美野梨さん１票。……結果、処刑されるのは古尾桐子さんです」

　エムアは右手を拳銃のように形作り、桐子を指す。
「それでは、桐子さん……――さようなら」
　パーン、と言って引き金が引かれる。

「や・ら・れ・た～！！」

　桐子は胸を押さえ大げさに倒れるふりでテーブルに突っ伏した。

「引き続き、＜２日目・夜＞となります」

　ここからはもう、正体を明かしてしまおう。
　騎士サキリは占い師である美野梨を守り、美野梨は梢を呪殺すべく占った。
　そして、朝。

「みなさま。恐ろしい夜が明けました。昨夜の犠牲者は、屋敷野梢さんです」

　やや名残惜しいように笑みを浮かべ、エムアは告げる。

「勝利条件が満たされました！　ゲーム終了です！
　人狼と妖狐の脅威はもうありません。島民の皆様の完全勝利です！」

　こうなると分かっていましたよ、とばかりに梢は肩を竦める。

「ふふ。では、正体の公表と行きましょう――」

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