推理ゲーム『ねこじま人狼』6th｜リアクション

推理ゲーム『ねこじま人狼』6th

　――戸影邸。

　相変わらずの埃と蜘蛛の巣まみれのシャンデリアの下がった薄暗い広間に通された人々は、室内の暖かさにほっとしていた。
　暖炉が焚かれ赤々とした火と、銀の燭台の上の蝋燭の灯りが暗い室内を照らしている。
　パチパチと薪の燃える音が穏やかに響き、楕円卓の上に置かれた紅茶からは柔らかな香りが漂っていた。
　六回目ということで馴染みの顔もあるが、初めての顔もいくつかある。
　神野美野梨が眼鏡を少し押し上げながら挨拶した。
「前から興味があったの。人の考えを読むのは難しそうだけれど……ゲームを楽しめればと思っているわ」
「こういうの、兄貴の方が……得意、かも、だけど……やれる限り、がんばります」
　志波拓郎もおずおずと会釈する。
　古尾桐子は、にぱっと笑った口元に八重歯を覗かせてとっても元気だ。
「うちも楽しみたいッス！　やるからには勝ちたいッス！」

　屋敷の主・戸影エムアはいつものように目を細め、招待された六名のプレイヤーを見回す。

「それではみなさんの主張をおさらいしておきましょうか。主張した順に……敬称略です」

　　古尾桐子　：占い師ではない→【らっかみ】
　　神野美野梨：【占い師】（屋敷野梢さんを占い「島民だが狐くさい」）
　　志波拓郎　：【パン屋】
　　サキリ・デイジーカッター：【騎士】
　　屋敷野梢　：【らっかみ】
　　夜海霧楓　：役職伏せ

　ええと、と口火を切ったのは拓郎だ。
　甘いクッキーを一口齧り、拓郎が現状を確認する。
「ここまでの皆の主張を聞いた限りだと……らっかみのどっちかは偽物で、その場合は妖狐か人狼……デイジーカッターさんが、騎士で、夜海霧さんが島民側……？」
　さく、と拓郎はクッキーをもう一口齧って続ける。
「パン屋……パン、焼けばいいんだよな？　あんパンジャムパンクリームパン……ブリオッシュは、パン？　お菓子？」
「おいしそーッス！」
「本当ね。ブリオッシュもパンでいいんじゃないかしら？」
　桐子は大きく手を拡げて笑えば、美野梨も口元に手を当てくすくす笑う。
　最初の緊張が少しほぐれた様子だ。
　優雅にティーカップを傾けていたサキリが静かに言った。
「さて最後の神野の発言によると狐を発見したようだね。その発言は本当かい？」

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