本日はカードゲーム日和｜リアクション

本日はカードゲーム日和

【カード大会その4】
　その頃、蒼はゴーレムキングに続き、フレイムドラゴンも召喚して、零式に善戦を続けていた。
　だが、序盤に速攻で攻められたディスアドバンテージを取り戻すことができず、ついにライフはゼロになった。
「……負けました。強いですね」
　蒼は、敗北を宣言し、零式の実力を称えた。
「いやいや。君の方こそ、強かったよ。今回が初めてなんだろう？　今度はぜひ公式大会で戦ってみたいな」
　零式が笑って手を差し出してくる。
　蒼はそれに応じ、固い握手を交わして、テーブルを後にした。
　そして、蒼に代わり、零式の正面に着いたのは――。
「強そうな人だね！　じゃあ、次は私と勝負しよう！」
　すでに円を含めて3人のプレイヤーを破った真白だった。
「自信がありそうだね。のぞむところさ」
　零式が挑戦を受けたことで、二人のバトルは始まった。
　実力者同士の戦いということで、二人のバトルには、にわかに注目が集まる。
（うげっ、相手のデッキ、すごく早い……）
　真白は、開始数ターンで、零式の序盤の展開の早さに目を剥いた。
「僕のターン。ドロー。木のマナを一枚。モリゴブリンを召喚。そして――」
　零式は、低コストのモリゴブリンやポイズンスライムを次々と召喚して、速攻で仕掛けてくる。
（こりゃ急がないとまずいね。トップを操作してる余裕はないし……）
　焦りつつ、真白は冷静に勝機を探し続ける。
「私のターン！　ドロー。金のマナを一枚。ガチャゴンを召喚。イベントカードを一枚設置」
　まずはガチャゴンを出し、勝機を探して、他のクリーチャーは守りに徹する。それから、仕掛けのカードを設置することも忘れない。
「ふふふ。ガチャゴンか。僕もそのカードは好きだよ。でも、はたしてそのスキルを使うだけの時間があるかな？」
　零式は不敵に笑い、さらに低コストのクリーチャーを召喚して、決着をつけようとしてくる。
　真白は粘った。
　確実にコンボを起動するためには、山札のトップを操作し、上から5枚以内に状況を逆転させる『当たりの一枚』を仕込む必要があるのだ。
　さらにターンが経過。
「僕のターン。マナを一枚。そして――ターンエンド」
　零式は攻撃の手を緩めない。
これ以上の攻撃を許せば、たとえ当たりを引いても挽回は難しくなる。
（私の運に賭けるしかない！）
　きりり、と唇を引き結び、真白は決断した。
「私のターン！　ドロー！　マナを一枚。ガチャゴンのスキルを発動！」
「……なに？」
　零式の表情が固まる。
　観客達も息を飲む。
「山札からカードを5枚引いて、そのカードをカウンターを代償として、ゼロコストで発動するよ！　ドロー！」
　上から5枚カードを引く。トップを操作していないので、何が来るのかわからない。あたりが来なければ真白の負けは確定する。
　だが、5枚のカードを見定めたとき、真白の口の端はかすかに緩んだ。
「――ガチャゴンの効果で『キャット・アイズ・ホワイトドラゴン（猫目の白竜）』をゼロコスト召喚！召喚効果で、タフネス3以下のクリーチャーを全て墓場に！」
「……っ！」
　零式がこれまでに見せたことのない表情を見せた。
　オーディエンスの興奮のボルテージが最高潮に達する。
「――さあ、私の自慢の竜の攻撃を受け止められる？」
　答えは決まっていた。
　その数ターン後、真白は圧倒的な逆転劇を演じ、見事に零式まさとのバトルを制したのであった。

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