魅了された寝子島｜リアクション

魅了された寝子島

　夏朝は一足先にルネの前についた。王座があり、その横には数人の兵士、そしてメイド服の葉月が待ち構えていた
「よく来たわね。哀れな者達」
「勝手に皆を魅了しておいて」
　夏朝は折り畳み傘にシールを張り付けた。
「ルネ様の敵は俺達の敵だーーーー！」
　一斉に襲ってくる辺り、容赦がない。
　夏朝は折り畳み傘を限界まで伸ばし、飛び掛かってくる人間の頭を狙った。
　ドゴンッという大きな音がしたが気にしない。槍を振るわれるが、素早く避けて腹に打ち込む。
「離れて！」
　夏朝はその声に気づき、素早くその場から離れる。嫌な気配がしたのだ。
　と、風を切る音がして、一人の兵士の頬に真っ赤な粉がぶち当たった。
「！？」
　赤い粉が舞い、咳き込んでいた兵士達はバタバタと倒れていく。
「よっし！　キミ、大丈夫？」
　ユウを連れた萌だった。ゴーグルを外し、にっと笑う。どうやら吸い込んだら危ないものだったらしい。
「ああ、ありがとう。一人じゃきついかなって思ってたから」
　そう頷き合った二人は余裕の表情をしているルネへ視線を向ける。
「あの巨乳めえ～」
「巨乳？」
「いやあ、立派だよな。うんうん」
「ユウ君、黙ってて」
「……はい……」
　ユウを魅了しただけあって、見惚れるほど大きく、形がいい。
　並々ならぬ、思いがあるようだ。
　ルネがため息を吐いた。
「ふん。使えないやつらね。さきほどのメッセージもお前達かしら？　葉月、やってしまいなさい」
「はい」
　一歩前に出たのは葉月である。完全に魅了を受けているようで、手には長剣をもっていた。
「さっきのパウダーまだある？」
「ハバネロ？　もちろん」
　萌が頷いたので、夏朝は折り畳み傘を構えた。
「相手は僕がするから、ルネにそれを」
「了解！」
　二人は駆け出した。

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