寝子小クリスマス会☆　悪魔ネズミの襲撃！｜リアクション

寝子小クリスマス会☆　悪魔ネズミの襲撃！

　寝子高三年の森篠琳子は、寝子小のクリスマス会にお手伝いとして参加していました。
「おつかれさまでした。後はレース準備までお休みですから、出し物を見ててください」
　そう言われて、ビデオカメラを取り出しクリスマス会の様子を撮影しています。
（懐かしいなあ）
　クリスマス劇を見ながら自分の時のことを思い出す琳子。
（クリスマス劇で回ってくる役はなぜかサンタでもトナカイでも子供でもなくママの役だったっけ）
　小学生の頃からしっかり者だと思われていたからかもしれない、と琳子は思います。
　ビデオカメラ越しにステージを見ていると、ふと父の顔が浮かびました。
（お父さん、クリスマス会の手伝いに来て、ビデオカメラを回してた）
　あれは小学５年生の時だったと思います。
　仕事で忙しかったはずなのに、一度だけ父が来てくれたのを覚えています。
（あの時の映像はまだ残っているはずで……あれはどこにしまったかな？）
　その父も今は亡く。
（まさか自分がビデオカメラを回すとは思わなかったな）
　
　そうしているうちに、３年生の妹の奏子のクラスの出し物が始まりました。
（出てきたわね）
　舞台に出てきた奏子は緊張した様子もなく、友達と手品を披露しています。
　友だちのとの掛け合いをこなし手品を成功させる奏子に、撮影しながら琳子の表情がほころびました。
（私のときは……何をしてたっけ？　それにしても奏子ったら、手先が器用ね）
　拍手喝采で手品は終わり、そのまま撮影に徹するつもりだった琳子でしたが。
　ふと、周囲の先生方の困った様子に気づきました。
「お願いいしますよ」
「いえ、もっと若い人のほうが……」
　ヒソヒソ声の会話が気になり、
「何かあったんですか？」
　と尋ねると。
「ちょうどよかった。お手伝いお願いします！」
「……え？」
　わけがわからないまま。
　大人たちの期待の目が、一斉に自分に注がれたことには気づいて、琳子は困惑しました。

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