寝子小クリスマス会☆　悪魔ネズミの襲撃！｜リアクション

寝子小クリスマス会☆　悪魔ネズミの襲撃！

☆クリスマス劇

　３年生の一原みとは、最近テレビで安全点検する番組を見ました。
「安全、大事だよね。どんなお仕事も、ちゃーんとチェックして、だいじょうぶだなって見るのが大切なんだって」
　普段はのんびりしているみとですが、すっかり影響されて、寝子小へ向かいながらお友達に点検について熱く語りました。
「『いつも通り』ができるのってすごくすごいんだって。みともね、コーネリア、お気に入りのぬいぐるみなんだけど『点けん』するまで、おしりがほどけてるの気づかなかったの！　だからちゃんと点けんするよ。今日も、お家を出るときに、ちゃんとお母さんがガス消したの見たもん！」
「……みとちゃん、いつもなら雨やカエルの話してるのに、点けんにはまってるねー。今日はクリスマス会だよ？」
　ちょっとあきれた様子のお友達の言葉に、みとは目を輝かせました。
「そうだ、クリスマス会でも点検しなきゃ！」

　それからしばらくして。体育館では、クリスマス会が始まろうとしていました。
　４年生の曖浜瑠樹もわくわくしています。
「クリスマス会、今年もたーくさん楽し……」
「チュー」
　パタパタと、羽の生えた黒いネズミが飛んでいました。
（……悪魔ネズミ、お三夜祭りだけじゃなくこっちにまでー！？）
　一瞬で正体を悟った瑠樹は嘆きます。
（普通に楽しみたかったのになぁ……！　クリスマス会の楽しみ方はそうじゃないよぉ！　クリスマス会に悪いことしちゃだめだよぉ…！）
　しかし嘆いても仕方ありません。このままではクリスマス会をめちゃくちゃにされてしまいます。
（フツウを守りつつ、悪魔ネズミにできる範囲で対処するよぉ）
　瑠樹は決意したのでした。
「まずはクリスマス劇だねぇ。出番があるから舞台になにかあったら対処できるよぉ」

（２年生の頃にはすでにサンタさんが親だということを知っていたけど、それでも何となくワクワクする感じが好きなんだよね）
　佐藤瀬莉がそんなことを考えていると、放送委員によるアナウンスが流れました。
「クリスマス劇『真っ赤なお鼻のトナカイさん』に出演する人は、舞台右手に集まってください」
「あ、行かなきゃ」
　急いで舞台に向かいます。
　来年で小学校を卒業する瀬莉にとって、今年が最後のクリスマス会。
　最後の学年では、ついにサンタ役でクリスマス劇に出演することになりました。
（サンタ役、がんばろう）
　クリスマス劇には２年生の時と４年生の時に出演していて慣れていますが、その時はトナカイ役と子供の役でした。
　今回は段違いに注目されるし、台詞が多くて大変です。
（でもなんとかなるよね）
　舞台袖で衣装に着替えスタンバイする瀬莉ですが、舞台には悪魔ネズミが入り込んでいました。
「クリスマスなんてぶちこわしてやるチュー」
　電飾のスイッチのコードや書き割りに忍び寄ります。

　みとは、クリスマス会が始まってからも、気になって出し物の前の時間、うろちょろして変なものがないか確認します。
「ここよーし、あっちよーし。……あっ。これ、あぶない……かな……？」
　大きなクリスマスツリーが傾いて、ぐらぐらしているのを見つけました。
「……せ、せんせー！」
　とてとてと歩いて先生に報告します。
「ん？　なんだい？　……これは危ないね。教えてくれてありがとう」
　先生が直してくれて、クリスマスツリーは倒れずに済みました。

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