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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
【星幽塔】第六階層 道化の遺産
◆
鉤爪をギラつかせ、メンデスが突撃する。
二振りのダガーを構え直し、ティオレは右側面へ跳んだ。着地と同時に右足を踏みしめ左へ跳躍。鋭角的な軌道で、メンデスの背後へとまわりこむ。
火炎の剣閃なら届く距離。だが、星の力は発動しない。一度ノイズ撃たれた以上、二度目を警戒するのは当然だった。
まわりこまれたメンデスがトンボを切り、縦一閃に尾を走らせる。
半歩踏みこんで躱せば、続けて側面から襲いかかるのは牙。
身をかがめ、ティオレはその腹下へ潜り込む。頭上に見えるすべすべとした真っ白な腹は、紛うことなき急所であった。
くぐり抜けざまに振り抜いたダガーは、しかしわずかに腹を捌いたところで後ろ足の鉤爪に受け止められる。
ぐん、と。つかの間、脚が膨れ上がるほどの力を込めた鉤爪がダガーを弾き、振り下ろされる。
舌打ちひとつこぼし、ほとんど腹ばいの姿勢で回避。断ち切られたティオレの髪が、パラパラとこぼれ落ちた。
メンデスはその場で旋転。薙ぎ払いの一撃めいて牙を繰りだす。
後ろへ跳んだティオレの眼前を、唸りあげて牙が過ぎた。風圧に肌が痺れるのを感じながら、右手のダガーを投げつける。
狙うのは、振り抜いた首のその根本。
打ち払おうとした前脚に、ダガーの切っ先が食い込んだ。ギッ、とメンデスが呻きと共に身を捩る。
肉薄するティオレの左手、逆手のダガーが閃く。
音を立てて翼が斬り裂かれ、メンデスが墜落した。
それでもなお狂ったように鉤爪を振りまわしていて、トドメをさそうに近づけない。
だがまあ、
「これで満足には動けないかね」
まずは一匹。
◆
蛇が鎌首もたげるような姿勢から、メンデスは爆発的な勢いで首を伸ばした。
損傷し低空飛行もままならない翼も駆使し、伸長の勢いで体全体を牽引するようにして跳躍する。
夏朝が横飛びに転がり、直後メンデスが音を立てて着地する。その瞬間の翼のはばたきが土砂を巻きあげる。
視界を埋め尽くす土煙の向こうから、土煙ごと斬り裂く鉤爪が走る。
金属音。手甲と鉤爪が激突し、その衝撃に身を任せるように夏朝は跳躍。鉤爪が裂い土煙の間隙を狙って、戦輪を射出する。
そのまま、砲丸投げの選手よろしく思いきり回転。唸りをあげる戦輪とワイヤーが突風を巻き起こす。
土埃を払い除けられ、その向こうに紛れていたメンデスの体躯が顕に晒された。低く低くかがんだ姿勢は、竜というよりむしろトカゲのようだった。
土煙という迷彩を剥ぎ取られたメンデスが、ほんのつかの間硬直する。
四肢をたわめた時には、もう遅い。
「そこっ！」
肉球型の戦輪が、その可愛らしくもある見た目とは裏腹の鋭さに輝いた。
――ざん、と。メンデスの喉を斬り裂く。
絶叫は、しかし掠れた途切れ途切れの音にしかならなかった。
のたうちまわるメンデスの身体に、ワイヤーがぐるぐると巻き付く。そのうちに小竜はバランスを崩し、そのまま地面に倒れ伏した。
斬り裂かれた喉の傷は存外に浅く、すぐにも死ぬというほどのものでもない。
だが、これで当分は動けないだろう。
◆
瑠樹の背後で、幾度となく牙が鳴った。
「羊さん、走って走ってぇー！」
真後ろにつけたメンデスと付かず離れずの距離を維持しながら、瑠樹は矢を射かけ続けた。
翼が生えているとはいえ、相手は羊。追いつけないことに業を煮やしたように、メンデスが怒りの咆哮をあげる。
ノイズかと身構える瑠樹だったが、どうやらそうではないらしい。呪術の光を受けた影響なのか、そう連発はできないようだ。
代わりに、竜巻のようなローリングが襲いかかった。
牽制の矢を弾き、叩き落とし、激烈な回転を伴う突撃が迫る。
かろうじて直撃を免れる瑠樹と羊だが、咆哮にも似た風の唸りからは逃げ切れない。
突風にめくられ、バランスを崩す瑠樹。振り落とさないよう羊が足を止めたその瞬間を、牙が狙う。
火炎と戦輪が、メンデスを阻んだ。ティオレと夏朝だ。
ホバリングしたまま後退したメンデスの視線が二人を、そしてそれぞれの背後で地に臥せった幼体を捉える。
メンデスの動きは迅速だった。
三人に背を向けるや否や、脇目も振らずに飛び立ったのだ。
目指すは亀裂――ではなく、空洞の奥。
成体が戦っている、まさにその場へ。
「待てぇー！」
真っ先に反応したのは、瑠樹だった。声に応じて羊が鳥の翼を広げて飛びたち、その後を追う。
これ以上、フローレンスを傷つけさせてたまるか。
鉤爪をギラつかせ、メンデスが突撃する。
二振りのダガーを構え直し、ティオレは右側面へ跳んだ。着地と同時に右足を踏みしめ左へ跳躍。鋭角的な軌道で、メンデスの背後へとまわりこむ。
火炎の剣閃なら届く距離。だが、星の力は発動しない。一度ノイズ撃たれた以上、二度目を警戒するのは当然だった。
まわりこまれたメンデスがトンボを切り、縦一閃に尾を走らせる。
半歩踏みこんで躱せば、続けて側面から襲いかかるのは牙。
身をかがめ、ティオレはその腹下へ潜り込む。頭上に見えるすべすべとした真っ白な腹は、紛うことなき急所であった。
くぐり抜けざまに振り抜いたダガーは、しかしわずかに腹を捌いたところで後ろ足の鉤爪に受け止められる。
ぐん、と。つかの間、脚が膨れ上がるほどの力を込めた鉤爪がダガーを弾き、振り下ろされる。
舌打ちひとつこぼし、ほとんど腹ばいの姿勢で回避。断ち切られたティオレの髪が、パラパラとこぼれ落ちた。
メンデスはその場で旋転。薙ぎ払いの一撃めいて牙を繰りだす。
後ろへ跳んだティオレの眼前を、唸りあげて牙が過ぎた。風圧に肌が痺れるのを感じながら、右手のダガーを投げつける。
狙うのは、振り抜いた首のその根本。
打ち払おうとした前脚に、ダガーの切っ先が食い込んだ。ギッ、とメンデスが呻きと共に身を捩る。
肉薄するティオレの左手、逆手のダガーが閃く。
音を立てて翼が斬り裂かれ、メンデスが墜落した。
それでもなお狂ったように鉤爪を振りまわしていて、トドメをさそうに近づけない。
だがまあ、
「これで満足には動けないかね」
まずは一匹。
◆
蛇が鎌首もたげるような姿勢から、メンデスは爆発的な勢いで首を伸ばした。
損傷し低空飛行もままならない翼も駆使し、伸長の勢いで体全体を牽引するようにして跳躍する。
夏朝が横飛びに転がり、直後メンデスが音を立てて着地する。その瞬間の翼のはばたきが土砂を巻きあげる。
視界を埋め尽くす土煙の向こうから、土煙ごと斬り裂く鉤爪が走る。
金属音。手甲と鉤爪が激突し、その衝撃に身を任せるように夏朝は跳躍。鉤爪が裂い土煙の間隙を狙って、戦輪を射出する。
そのまま、砲丸投げの選手よろしく思いきり回転。唸りをあげる戦輪とワイヤーが突風を巻き起こす。
土埃を払い除けられ、その向こうに紛れていたメンデスの体躯が顕に晒された。低く低くかがんだ姿勢は、竜というよりむしろトカゲのようだった。
土煙という迷彩を剥ぎ取られたメンデスが、ほんのつかの間硬直する。
四肢をたわめた時には、もう遅い。
「そこっ！」
肉球型の戦輪が、その可愛らしくもある見た目とは裏腹の鋭さに輝いた。
――ざん、と。メンデスの喉を斬り裂く。
絶叫は、しかし掠れた途切れ途切れの音にしかならなかった。
のたうちまわるメンデスの身体に、ワイヤーがぐるぐると巻き付く。そのうちに小竜はバランスを崩し、そのまま地面に倒れ伏した。
斬り裂かれた喉の傷は存外に浅く、すぐにも死ぬというほどのものでもない。
だが、これで当分は動けないだろう。
◆
瑠樹の背後で、幾度となく牙が鳴った。
「羊さん、走って走ってぇー！」
真後ろにつけたメンデスと付かず離れずの距離を維持しながら、瑠樹は矢を射かけ続けた。
翼が生えているとはいえ、相手は羊。追いつけないことに業を煮やしたように、メンデスが怒りの咆哮をあげる。
ノイズかと身構える瑠樹だったが、どうやらそうではないらしい。呪術の光を受けた影響なのか、そう連発はできないようだ。
代わりに、竜巻のようなローリングが襲いかかった。
牽制の矢を弾き、叩き落とし、激烈な回転を伴う突撃が迫る。
かろうじて直撃を免れる瑠樹と羊だが、咆哮にも似た風の唸りからは逃げ切れない。
突風にめくられ、バランスを崩す瑠樹。振り落とさないよう羊が足を止めたその瞬間を、牙が狙う。
火炎と戦輪が、メンデスを阻んだ。ティオレと夏朝だ。
ホバリングしたまま後退したメンデスの視線が二人を、そしてそれぞれの背後で地に臥せった幼体を捉える。
メンデスの動きは迅速だった。
三人に背を向けるや否や、脇目も振らずに飛び立ったのだ。
目指すは亀裂――ではなく、空洞の奥。
成体が戦っている、まさにその場へ。
「待てぇー！」
真っ先に反応したのは、瑠樹だった。声に応じて羊が鳥の翼を広げて飛びたち、その後を追う。
これ以上、フローレンスを傷つけさせてたまるか。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2019年12月29日
- 参加申し込みの期限
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- 2020年01月05日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2020年01月05日 11時00分
