【期末テスト】赤点？満点？？寒風、四日間の死線＜物語編＞｜リアクション

【期末テスト】赤点？満点？？寒風、四日間の死線＜物語編＞

　楡宮遠海は思い出していました。
（１学期の期末テストは散々だったわね……）
　この時は灼熱地獄だわなぜかカレーが食べたくなるわという状態でした。
（暑さのせいで食欲がないし猫舌だから、１日当たりたった５杯しか食べられなかったわ）
　遠海は清楚な見かけによらず大食いなのです。
（そして濃厚なカレーの香りとインド音楽っぽい曲が流れて、なぜかインドっぽい衣装を着て踊っている姿が脳裏に浮かぶわで……）
　結局最終日の理科のテストは三分の二を白紙で提出する羽目になったのですから、笑い事ではありません。
　おかげで追試と補講で夏休みがつぶれる羽目になったのでした。

（今回は１学期の時のようなことにならないように気を付けなきゃ）
　そう思っていたのですが。
　それでも容赦なく、寒さとジャンボかき氷の脅威が遠海を襲いました。
　初めて学食でジャンボかき氷を勧められたときは、
「さすがにこんな寒い時期に食べられない……」
　と言った遠海ですが。
「（あれだけたくさん食べる）あんたが食べられないはずはないでしょ」
　とおばちゃんに押し切られて、結局五杯も食べました。
　たまたまそれを見ていた野々ののこが目を輝かせ、
「遠海ちゃんすごい！　私も負けないよ！」
　なぜか競うようにしてジャンボかき氷を食べました。
　その後、ののことは毎回食堂で出会い、そのたびにののこと競うようにしてジャンボかき氷を食べました。
　結局いつも遠海の方が勝ってしまうのですが。
「明日こそ負けない！」
　とののこは宣言するので、どうやら悔しがっているようでした。

　そして４日目。
　今日のテスト科目は、奇しくも前回と同じ鬼門の理科。
（マジ寒いわ……でも１学期の二の舞にはならない。絶対に解いてやるんだから！）
　ガクガク震えながら、遠海はなんとか気合いで問題を解きます。
　さらに凍えた指で文字を書くこと自体が難関でした。
（冷たい……指が動かない）
　けれどもう追試を受けたくはありません。
（絶対に解いてやるんだから！）
　遠海はなんとか判読可能な文字で答えを記入しました。
　
　そして引き続き、体育の試験も根性でクリアしたのでした。
（食堂に行こう）
　今日のかき氷は、一際美味しく感じられることでしょう。