【寝子祭2nd】『Jewel・BeJewel』｜リアクション

【寝子祭2nd】『Jewel・BeJewel』

☆もうすぐ寝子祭！（２）

　業務用のスーパーマーケットで買い求めてきたあれこれを調理台に広げながら、
「タピオカミルクティー、おもしろいですよねぇ」
　と、大塚絽紗はうふふと笑った。
「確かに、ちょっと面白いかも……」
　なんて呟く水上桜の視線は、絽紗の手元に注がれている。
　タピオカ粉及びミルクティーの材料やサイダーまでは、桜の想定の範囲内。
　けれどそこに、カラフルなシロップやお茶菓子、各種着色料も加わって、調理台の上は何とも賑やかだ。
「タピオカから手作りするとは聞いてましたけど、着色料って何に使うんですか？」
「これを使って、カラフルなタピオカを作るんですよー、水上さん」
「カラフルな……タピオカ……」
　おっとりと絽紗が零した言葉を、そのまま繰り返す桜。
「とにかく、作ってみるか」
　滝原レオンの言葉に、七夜あおいもこくと頷く。
「うん！　やってみよう！」
「作り方は、錦織と大塚が知ってるんだよな？」
「は、はい……！　い、一応、勉強してきました……っ！」
　錦織彩が、ぐっと拳を握り、
「試行錯誤しながら、色々と作っていきましょうね。実は私、前々からタピってみたかったんですよー」
　と、絽紗は楽しげにかつ手際良く、調理器具の準備に取り掛かった。

※

「わあ！　可愛い！」
　桜の声が、鮮やかに華やぐ。
　真っ直ぐな賞賛に、彩は、頬を淡く朱に染めて俯いた。
　彩が作ったのは、猫の顔の形をしたタピオカ。
　茹で上がったそれは、きらきらと、まるで宝石のよう。
「あ、ありがとう……ございます……。でも、その、ちょっと摘まんだだけ、なので……」
「彩さんは奥ゆかしいですねー。中々、こんなに可愛くできませんよ」
「発想もすごいですよね。シロップとサイダーが層になるように注ぐのもすごく綺麗です」
「お客さん、これならきっと喜んでくれるね！」
　絽紗、桜、あおいが口々に言い、彩は、益々赤くなる。
「あ、そうだ！」
　不意に、桜が声を跳ねさせた。
　彩がびくりとし、レオンも、「何だよ急に」と軽く首を傾ける。
「あ、ごめんなさい。ちょっと、やってみたいことを思いついて……」
　言って、桜は、透明のグラスに七色のタピオカを入れ、その上からソーダを注いだ。
　しゅわしゅわと小さな泡が弾ける中に、虹の色が明るく煌めく。
「わ、綺麗！」
「ありがとうございます、七夜先輩。名付けて『レインボータピオカソーダ』……とか、どうでしょうか？」
「ふふ、素敵。これも、人気が出そうですねぇ」
　桜の力作を目に、絽紗はにっこりと微笑んだ。
　良かった、と淡く笑んだあとで、桜は、
「……そうだ。今回は間に合わないけど、レジンキャストでカラフルなタピオカや琥珀糖を作ってみようかな」
　と、ぽつりと零す。
　その言葉に反応したのは、彩だ。
「み、皆さん、あの……っ！　展示といえば、なんですが……明日、一緒に、見に行きませんか……？」
「あら、いいですねぇ。お店が始まる時間以降は忙しくなりますし……少し早めに集まるのはどうでしょう？」
　ふんわりと絽紗が提案を重ね、桜やあおいも賛成の声を上げる。
　レオンも、積極的に声を上げこそしないが、彩がそろそろと視線を遣れば、小さく頷きを返した。
　皆の反応に、彩はほっと息を吐き、ほんわかと目元を緩めるのだった。

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