ＶＳもれいび　高校生誘拐犯を撃退せよ！｜リアクション

ＶＳもれいび　高校生誘拐犯を撃退せよ！

とある夜。住宅街の入り口。
　サキリ・デイジーカッターはミラからの情報を頼りに誘拐犯の車を探していた。どうやらレイカは逃走用にと用意したらしいのだ。
　と、遠くでカラスの鳴き声のようなものが聞こえた気がする。
「山田かな？」
　山田勘三郎は上空で監視すると言っていたので、ろっこんを使ったのだろう。
「準備は整った」
　サキリは辺りに誰もいないことを確認してからナイフを取り出した。すっと息を吐いて、空間を切り裂くイメージを頭の中に浮かべる。
　転移。
　ろっこんが発動し、サキリは近くの民家の屋根に立っていた。
　双眼鏡で住宅街を見回す。上空には黒い翼の勘三郎が。視線を地上に戻すと、
「！　いた」
　サキリは小さく呟いた。タイミングよく前方から車が走ってくる。路地へと下り立ち、後ろ手でナイフを構えた。
　ろっこんが発動する。
　転移した先は走る車、タイヤの横だ。
「悪いね」
　間髪入れずに回転するタイヤにナイフの赤刃を滑らせた。
　途端にハンドルを取られた車がスリップして、近くの電柱と接触、壁にぶつかる前に止まったものの、もう走れないだろう。
「やってくれんじゃん。せっかく用意させたのにさぁ」
　数人の気配。振り返ると、セーラー服の少女が立っていた。ミラの情報にあったレイカのようだ。
「残念だったね。車にはもう引き込めない」
「ばぁか。一台しか用意してないわけないじゃん？」
　レイカは手にしたスマホで軽快に文章を打ち込んだ。
「さあて、さなえちゃんが来るまで相手してやるよ」

数分前。
山田勘三郎はサキリと分かれて自転車を漕いでいた。
「変身した方が早そうだな。でもその前に」
　誰か協力できるもれいびを探したい。ろっこんを使ってしまえば、勘三郎は喋れなくなってしまうのだから。
「ん？」
　前方を走っている龍目豪を発見した。
「おおーい」
　勘三郎が声をかけると豪は足を止めた。
「お、龍目か。もしかして、誘拐犯のことを」
「ああ、ミラから話は聞いてるぜ！」
「そうか、実は俺の連れが誘拐犯の車を探してるんだ」
　勘三郎の言葉に豪は頷いた。
「丁度良い。俺は早苗ちゃんを警護する。もし襲ってきたら撃退してやるからな！」
　誘拐犯を捕まえるのも大事だが、ターゲットのそばで直接護ることも大事だろう。
「おう、その時は俺も加勢する」
　そう言うと、豪はにっと笑って親指を立てた。
「うし、頼んだぜ」
　そうして豪と分かれた勘三郎はすっと息を吸い込んで、思い切りカラスの鳴き真似をした。ろっこんの発動と共に翼を広げ、夜の空に舞い上がる。
(！　あれは)
　遠くで車が事故を起こしているのが見えた。
(行ってみるか)
　サキリが上手くやったのかもしれない。

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