「おーい! 車盗んできたぜ!」
「よし、行くぞ。レイカが待ちくたびれてる」
海辺の空き倉庫にて。
ドラム缶に投げ込まれた木切れやら雑誌の類やらが盛大な炎を噴き上げ、集う者たちの表情を照らし出す。
いずれも若く、高校生くらいだろう。十人ほどが火を囲み、瓦礫を積み上げてこしらえられたひな壇には、パイプ椅子に足を組んでふんぞり返る少女の姿があった。
「つーか、大丈夫なのかな……」
何やらこれから事に挑もうというらしい彼らの中で、車を調達してきたという少年が、弱気をこぼす。
「
誘拐なんてよ。そんなの、本当にうまくいくのかよ」
「お、おい! 聞こえるぞ……」
「バーッカじゃないのぉ」
少女は、セーラー服を身に着けていた。スカートは短く、覗くふとももは健康的な小麦色。足にはハイヒール。ブリーチをかけた長い髪をサイドテールに結い、とび色の瞳は右手のスマートフォンへ落としたままだ。
忙しなく指先で画面をなぞりながら、吐き捨てるように言った。
「レイカの作戦はカンペキだしぃ。アンタたちはレイカの言うとおりに動いてりゃいーの! ねっ? 子豚ちゃんたち」
「誘拐事件……だって?」
サキリ・デイジーカッターの怪訝そうな顔に、
ミラは必死な様子で語りかける。
『<時の特異点>を放っておいたら、寝子島はとんでもないことになってしまいます……!』
ミラが言うには……今夜、シーサイドタウンで誘拐事件が発生する。
被害者は塾帰りの小学生。父親はそこそこに著名な資産家だという。
犯人は、
高校生。
「高校生が誘拐とはね」
『彼らは、
もれいびなんです! 能力を使えば、誰にも知られることなく拉致することができますし、仮に見つかったとしても、撃退することができてしまうでしょう……』
「最近どうも、ろっこんを悪用するケースが目立つな」
『きっと、悪魔が出没してる影響でしょう。気をつけてくださいね? ああ、みなさんが心配ですっ!』
「それでも僕らがやるしかない……だよな? やれやれ」
肩をすくめたものの、サキリの瞳はどこか輝いている。
日没まで、あと少し。
こんにちは、よろしくお願いします!
サキリ・デイジーカッターさん、ガイドに登場してくださりありがとうございました。
ご参加いただける場合は、ガイドに関わらず自由にアクションをかけてください。
概要
深夜の星ヶ丘地区、閑静な住宅街の一角。
路上に潜む街灯の死角で、もれいびに目覚めた本土の高校生たち数名が、
とある資産家の父親を持つ小学生を誘拐しようと企んでいます。
これを放っておけば、人質の命が危ないのはもちろんのこと。
高校生の一団は将来的に、とてつもなく凶悪な犯罪組織として成長してしまうのだというのです。
皆さんは、ミラのお願いで集まったり、気づいたらいつの間にかその場にいたりして、
事件の解決に臨むことになります。
未然に防ぐもよし。あるいは、現場を押さえるもよし。
仮に拉致を許してしまったとしても、彼らの使う車を追跡することができれば、救出のチャンスはあるでしょう。
誘拐犯たちを阻止し、人質の命を救ってください!
<狙われている小学生>
☆望月 早苗
寝子島小学校2年生の女の子。ひと。
穏やかで優しい性格で、クラスでは人気があるらしい。
気が弱く臆病。突発的な事態には震えるばかりで、声を出すこともできないでしょう。
<誘拐犯たち>
★レイカ
傲慢でひねくれた性格のギャル。今回の事件の首謀者で、多くの部下を従えている。
頭は切れるものの、短気なところがあるようだ。
ろっこん:ハイヒールを履き、他人を10秒間踏み続けると、
自分の話を相手が信じやすくなる。
★アキラ
学ランをきゅうくつに着込んだ巨漢。
元柔道部のエースだったが、暴力沙汰を起こし退部となった。
ろっこん:思い切り地面を殴ると、自分の周囲に地震が起こる。
地面に足を付けていると、足元が揺れて動きにくくなってしまう。
★リュウタ
すらりとして背が高いイケメン。
足技を使った格闘技経験者。プライドが高いが、自分より強い者には媚びへつらう。
ろっこん:かかとを鳴らすと、自分の影が霧のように周囲へ広がり、
暗闇となって周りに存在する人や物を隠す。
この他に、筋力や身体能力を増強するろっこんを持つ敵が数名おり、
作戦をサポートしています。
いずれも一筋縄ではいかない強敵ですので、心して臨んでください。
以上になります。
それでは、皆さんのご参加をお待ちしています!