お猫様パタパタ、寝子島神社お掃除大作戦！｜リアクション

お猫様パタパタ、寝子島神社お掃除大作戦！

○神社のお掃除

「今年もお三夜まつりの季節ね」
　落合まゆらは、寝子島神社の鳥居をくぐりました。
　ツインテールが可愛いまゆらは、寝子島アニメーション学院声優科1年生。
　まさかの合格通知を手にした来年の春アニメの収録まであと少し。
　声優志望の彼女は、ゲン担ぎも兼ねて寝子島神社のお掃除に参加することにしたのです。
　トレーニングは積んでいるとはいえ、うまくできるのか……不安と期待で落ち着かなくて。
　けれど玉砂利を踏みしめると、不思議に心が落ち着くのを感じました。
「こんにちは、まゆらさん。よろしくお願いしますね」
　巫女姿の神楽舞が声をかけてくれました。
「舞さん、こんにちは。よろしくお願いします」
　実はまゆらは正月には巫女のバイトをやったことがあり、舞とは顔見知りです。
　というか、今年も正月のバイトの予約は入れていたりするのです。
　高校一年のとき生まれて初めてやったバイトがこの神社のほおずき市で、まゆらにとっては寝子島神社は馴染み深い場所でした。
　そうした次第で、掃除にも熱心に取り組みます。

　寝子島神社は鈴などに猫の顔や肉球があしらわれ、楽しく掃除することができました。
「社殿の中に入るのって初めて」
　社殿とは神社の建物のことで、本殿の奥にはご神体が祭ってあります。
　ご神体との間には格子があり、さすがにそれ以上奥に行くことはできませんでしたが。
　ここに神様がいると思うと、まゆらは気持ちがピシッと引き締まる感じがしました。
　心をこめて丁寧に掃除しよう、とハタキをかけていると。
　ふわり。
　タンポポの綿毛のようなホコリが舞い上がりました。
　そのホコリは普通のホコリとは少し違っていて。
「あれ？」
　まるで生き物のような動きで、素早く外へ出て行ったのでした。
　けげんに思ったまゆらですが、そのまま掃除を続けることにしました。

「うん、綺麗になったかな」
　これで終わりではありません。次は隠れお猫様の像を掃除すべく、まゆらは社殿を出て行きます。

このページにイラストを設定する