携帯戦記カプセルギア　外伝「フリー対戦、店内！」｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　外伝「フリー対戦、店内！」

●●●白熱の夜、レンズの向こうに●●●

　大きな混乱もなく幕を閉じた、カプセルギアフリー対戦。
　お店が締まるギリギリまで人が絶えず、売り上げも上々だったと店長もホクホク顔であった。
　そんな中、隠しカメラを回収して自室で確認をするギアマスター『うま』。

「さて、確かめっか」

　それぞれのデータを回収しいくつかを同時に再生し、戦闘風景とそれぞれの立ち回りなどを記載していく。
　忙しなく目線を動かしながらも正確に各戦闘をデータ化していく。
　しかし、お昼を少し回ったあたりから様子が変わる。

「なんだ、これ…」

　違和感を覚えた『うま』はデータの入力をやめ、見ることに集中する。
　映っていたのは小学生ほどの子供と老人が対戦する動画。
　神主を思わせる白いネズミ型のカプセルギアと猫型のカプセルギアが対峙しており、戦闘が開始される。

『相手の得意な距離というものがあってね、そこになるべくいさせないようにするのさ』

　雑音から聞こえるその言葉は老人が発したものであり、ネズミは実に危なげない戦闘運びをしている。
　猫がビームのようなモノが射出されると、スピードを活かして遮蔽物に入る。
　かと思えば錫杖を駆使して猫をスタン状態になり、接近してネコジャラシで微量なダメージを蓄積させる。

　イライラしている様子の小学生はレッグ装備の能力なのか、垂直に飛び、ビームを連発する。
　ネズミは余裕をもってそれらを避け、ビームの発射口の反対に行き追撃を逃れる。
　挑発するようにかかってこいとばかりに手招く。

「こいつ…分かってやがる。カプセルギアの能力だ、とでも言うつもりか？」

　その挑発は猫から少し外れていたが小学生やほかのプレイヤーは気付かなかっただろう。
　まっすぐにカメラを捉えるネズミの姿は不敵に笑っているかのようにも見える。
　降りてきた猫に対し、着地を狙い錫杖でスタンさせ、ネコジャラシでビンタを繰り返す。

　攻撃力は少ないが攻撃をほぼ躱し、攻撃をさせないスタイルは上手くハマり、時間切れでの勝利を掴む。
　犬型のカプセルギアを持った子が老人との対戦を望み、受けて対戦が始まる。
　ほぼ同じ要領で射ぬを圧倒していくネズミ。

　高速移動と同時に姿を消す装備があったのか、犬は瞬間移動のような事を繰り返していた。
　しかし、何度も見せていたため、遮蔽物を利用されて追い詰められる。
　わかりやすく狼狽し、一本道で対峙するネズミを出し抜こうとしたが、到着地点にさらりと現れるネズミ。

　錫杖でのスタンからのネコジャラシ。
　ダメージ時のモーション設定をしていたのか猫のようにじゃらされる犬。
　近接攻撃を受けまいとスタン解除直前に離脱して遮蔽物に姿を消すネズミ。

『ずるいー！』
『大人気ないタクティクスはジジイじゃから許しての』

　地団駄を踏む小学生に、カラカラと笑う老人。
　孫の相手をしているような柔らかさがあるが、手加減はない。
　対戦がネズミの勝利で終わり、休憩を求めた老人が座ったのはカメラの目の前。

『ネズミ１匹、捕まえることの大変さ』

　語りかけられたかのような錯覚を受ける『うま』。
　だが、カメラの後ろにいる人物に話しかけているのだと自身を納得させる。

「何者…何が、目的だ」
『なに、ただの散歩、ただの戯れサ』

　嫌なタイミングで、応えられたかのようなカラカラと笑いながら紡がれる言葉。
　それ以降こちらを見ることはなかった。
　ただ、ほとんどのカメラの目の前に老人と老人を連れてきた子供たちが入り込んでいた。
　それは確実に映像の邪魔になっていたが、辛うじて情報は得られた。
　一息ついてからその老人を解析した『うま』。

「ギアマスター、ネコハウス。ギアはネズミ型の、名をクンビーラ…」

　思わず呟いた言葉は、パソコンのファンが飲み込んで消えていった。

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あとがき

担当マスター：御宮久
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本日の集計

■収入
　来客人数　　　　　：129（↑）
　ハード売り上げ　　：19,800（↓）
　ソフト売り上げ　　：83,600（↓）
　カプセル売り上げ　：38,100（↑）
　特別会計（協賛費）：70,000（－）

■支出
　カプセル他増設費　：658,700
　チラシ等準備費　　：6,000
　人件費　　　　　　：12,500
　清掃費　　　　　　：30,000

■所感
　効果あり。定期開催することで投資分は回収できる見込み。
　競合しない他店との共同イベントにすることでより売り上げられる予想。

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