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【演劇祭】とある少女の冒険記
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幕が上がる。
舞台を埋める暗闇に、白いピンスポットが降る。
真円を描く光の輪の端、赤いリボンを首に飾った少女がひとり、立っている。
猫耳と猫尻尾をふわりと揺らし、少女はスカートの裾を摘まんで客席へとお辞儀をひとつ。踵を返して光の中へと手を差し伸ばす。
その手に応じるのは、『少年』である幸次。
ふたりは手を取り合い、光の中でくるりくるりと舞い始める──
舞台袖で照明機器を操作しつつ、ディアーナは眉をひそめた。
(歌が聞こえないね)
練習の通りであるならば、舞台に立ったアイオは舞いながら歌う段取りであったはず。
音響装置のトラブルかと思ったそのとき、
「おかみさん……!」
舞台に立っているはずのアイオが蒼褪めた顔で駆けて来た。
「舞台の上に知らない人が……コージは相手がアイオじゃないのに気づいていないのですわ」
ディアーナに縋りつくようにしながら、アイオは声を震わせる。
幕が上がって、舞台裏から登場するはずだった。幸次の手を取り舞うはずだった。舞台に立っている赤いリボンの少女の姿に呆然としている間に、オープニングのダンスが始まってしまった。
「どうしましょう……今更中止も出来ません」
見知らぬ少女と幸次のダンスを舞台裏から見つめ、アイオは唇を噛む。
「……確かに何か赤いリボンをつけた黒猫みたいな子がいるな」
ディアーナの言葉に、アイオはぱっと顔を上げた。舞台を見遣り、息を呑む。
「アイオ、思い当たる誰かがいるのかい?」
「……いつもいた猫さんと特徴が同じですわ」
練習の度、もうひとりの出演者のようにいつも顔を出していた、そうして練習風景をじっと見つめていた、赤いリボンの黒猫。
「ネコジマ世界では不思議なことがよく起こるのだから猫さんが人の姿になっていても、……まさか」
狼狽えてうわごとじみて呟くアイオの肩を抱き、ディアーナは舞台上の状況を把握する。アイオの言う通り、劇は止められない。それに、見たところ『少女』の動きは元よりアイオが考案したものと変わりはない。
僅かの間に思案を巡らせ、ディアーナは音響機器に備え付けられていたマイクをアイオに差し出した。
「これでセリフを吹き込むんだ」
決然としたディアーナの提案に、アイオは空色の瞳を見開いた。ぱちりと瞬き、こくりと頷く。
幕はもう上がっている。
(考えている暇はありませんわ)
(両袖からアイオさんと俺が出てきて中央でダンス……のはずだったよね)
練習で何度も確かめたオープニング代わりのダンスの流れを頭の端になぞりながら、幸次は内心に首を傾げる。
始まってみれば、幕が開いたときから舞台中央にアイオが立っていた。仕方なく少し遅れる格好でアイオの手を取り、そうしてふたりで踊り始めた。
ステップを踏みながら、幸次はまた内心に首を捻る。本来ならばくるりとふたりでターンしてお辞儀し合った辺りでアイオが歌い始めるはずなのに、目の前のアイオは唇を動かさない。
(……あれ、)
アイオの首元を飾る赤いリボンが揺れる。本番前に顔を合わせたときとは違う衣装に瞬きを繰り返す。
(なんか黒っぽい衣装だねえ)
元々の段取りとはあちこち違いはするけれど、もしかすると舞台とはこういうもの、シナリオ通りにいかないもの、なのかもしれない。
それに、と幸次は視界の端に客席を捉える。舞台の上からは、案外客席が見える。お客さんの視線がこちらに集まっているのが感じられる。
劇中であれば黒子の幸次に視線が向けられることは少ないだろうが、舞台の上でふたりきりでダンスをするこの場面は、どうしても自分にも注目が浴びせられる。
どきどきと跳ねて緊張を訴える心臓のまま、幸次は練習の通りにステップを踏む。アイオと手を重ねてくるくると舞う。
(うん、練習の成果だね)
心臓はうるさいくらいではあるものの、練習通りにすれば良いと思えば身体はすんなりと動いてくれた。
(それにしても)
アイオの歌が聞こえてこない。
無音のままに繰り広げられる少年少女の舞いにほんの少し客席がざわめき始めたそのとき、──最初は小さく、次第に高く、少女の歌が舞台に溢れ始めた。ちょっぴり遠慮がちだった囁き声からステップに合わせて弾み始めた歌声は、客席に拍手が湧くほどに見事だった歌声は、けれどスポットライトの光量が絞られるにつれ小さくなる。
『──これは、ここではないどこか別の世界の物語。人間ではない『ひと』とモンスターが住む魔法の世界のお話──』
歌声と同じ声の主のナレーションに続いて光が消え、歌が消える。舞台に次いで流れ出すのは、風に煽られる樹々のざわめき。
一度舞台に引っ込んですぐさま駆けだして行くアイオの背中を横目に、幸次は纏っていた衣装を素早く脱ぎ捨てる。目立たぬ黒い服を頭から被り、出番のために舞台の端で待機する。
『こっちにも! わ、あっちにも!』
モンスターたちが蠢く気配のする暗い森を、少女ディディは明るい声を上げて跳ね回る。どんどんと森の奥へと分け入り踏み入り、気づけば周りは太陽の光も届かぬ森の奥。
進めば森から出られると信じてがむしゃらに進んで駆けて、走って、
『あっ』
舞台の真ん中、木の根につまづいた風に『少女』が転ぶ。
(……セリフを喋って録音しておいたのかな?)
舞台上の『少女』からではなく、スピーカーから聞こえて来るアイオの声に幸次はまた首を捻った。
(急遽変更なら言ってくれればよかったのに)
なすべきことは変わらないとは言え、共演者の異変は心配にもなる。人と話すことはちょっと苦手ではあるけれど、悩みがあったのなら、きっと耳を傾けるくらいはできたはずなのに。
沈みそうな気持ちを振り払い、幸次は栗色の瞳を舞台へと向ける。舞台に伏せた『ディディ』は、もう家に帰れないと嘆いた挙句、疲れ果てて眠ってしまったところ。ここからが、演出補助である幸次の出番。
スポットライトに照らし出された『少女』のもとへと歩み寄り、肩を叩く。跳ね起きた『少女』が猫耳をぱたぱたと震わせる。
『あなた、森の一族の人でしょう? あたしはディディ。迷っちゃって、出口がどっちか教えて欲しいんだけど……』
一族間でしか通じない独特の言葉を喋る少年と迷子の少女の、森の出口を目指す旅が始まる──
『流石、森の一族ね。森の道をよく知ってる! 不安がどんどん消えてくわ!』
『お気に入りの歌、教えてあげる。一緒に歌おう?』
食べられる木の実を採ってもらったり、身を寄せ合ってモンスターをやり過ごしたり。芝居は順調に進んで行く。
最後の見せ場、火を吹くドラゴンの登場は、耳をつんざくほど響き渡る咆哮の音声と、大きくなびく『少女』の髪と衣装で表す。
練習の通りに『少女』の髪や衣装を激しくはためかせて後、幸次は『少年』の動きで『少女』たるアイオを近くの茂みへと押し込む。そうしてその場から、舞台上から駆け去る。
ドラゴンの咆哮と羽ばたきの音が遠くなる。
茂みから一歩も動かず待ち続けていた『少女』のもと、怪我をした『少年』が戻って来る。ふたりは固く抱き合い、慌てて離れる。お小遣いになるはずだったありったけの薬草で怪我の手当をし、
『ありがとう──またね!』
名も知らずこの先二度と会えぬかもしれぬ少年に、一族の掟により森から出られない少年に、ディディは精一杯の笑顔を向けて手を振る。
駆け去る『少女』をいつまでも見送る『少年』を照らし出すライトの光が落ちて──『座・マルトン』による演劇『とある少女と少年の冒険記』に今、幕が下りた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
定員
3人
参加キャラクター数
3人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年09月19日
参加申し込みの期限
2019年09月26日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年09月26日 11時00分
参加キャラクター一覧
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