【星幽塔】第五階層　結界塔防衛戦線｜リアクション

【星幽塔】第五階層　結界塔防衛戦線

ティオレが二射目を構えていると、バイクのエンジン音がした。
「こっちは大丈夫！？」
　真白はバイクを停めて、ティオレに声をかけた。
「負傷者は癒しの門に行ってもらったわ。後はこの火砲でニウェーブ目を攻撃する」
　真白はすでに侵攻を始めている二ウェーブの群れへ視線を向けた。
　と、聖騎士の一人がティオレと真白へ声をかけた。
「お二方、情報によると、あの中にアーチャーがいるようです」
「それは……少し厄介ね」
　ティオレの火砲で広範囲を攻撃できるとは言え、遠距離攻撃をしてくる相手には思わぬ不意打ちを喰らうかもしれない。
「なら、あなたが火砲で攻撃して、混乱したところを私がアーチャーに切り込むよ！」
「そうね。タイミングを見て合図するから」
　と、群れの方から、数本の矢が飛んで来た。
「危ないっ」
　ティオレが用意していた盾を構え、騎士達の前へ出た。危機一髪で矢が盾に突き刺さる。盾をすり抜けた一本の矢は、
「えいっ」
　真白が片手斧で打ち壊す。
「早速来たね」
「不意打ちありなら、こっちも容赦しないわ」
　ティオレは目を細め、火砲に手をかけた。

　夏朝は聖騎士達と癒しの門へ向かっていた。重症の負傷者はエロに頼んだが、どちらにしろ、軽い怪我でも治しておいて損はないだろう。
「そうだ、怪我をしてない人は、あそこの魔土砲の修理に向かって。多分、今からなら間に合うから」
「はっ、そちらもお気をつけて」
　三人の聖騎士達が近くの、ゴブリン達に近い魔土砲へと走っていった。
　エロと入れ違いで癒しの門に到着した夏朝はすぐにぺルラのところへ。
「治療、お願い」
「はい！　わかりました。任せて下さい」
　切り傷や擦り傷だが、ぺルラは手際良く治療をしていく。
　癒しの門周辺には聖騎士が多く集まりつつあった。
「ここ、一番守りが固いかも」
　夏朝が呟く。
「はい、あまり広がらず、近づいてくるゴブリン達を確実に倒します」
　二ウェーブの群れが近い。
　ぺルラは杖を手に立ち上がった。
「この場所は死守します！」
　エロが前線に出て、ゴブリン達の相手をしているが、それより遥か遠くのシャーマンやアーチャーの攻撃はここへと飛んでくる。
「させません！」
　蒔かれし者杖をかざし、透明な壁、バリアを展開し、矢や魔法を無効化する。
　夏朝は先ほど、修理に向かってもらった聖騎士達へ視線を向ける。まだ修理が完了していないようだ。
「戦闘に戻るよ」
「はい、気をつけて」
　ぺルラと夏朝はそのまま別れた。

　何かがおかしい。

　二ウェーブ目の戦闘が開始され、夏朝、エロ、真白、ティオレ、ぺルラは違和感を覚えていた。事前の情報と、二ウェーブ目の構成が違うようなのだ。
　オークやゴブリン達を踏み潰しながらエロは遠くの方まで目を凝らした。
「これは……大変なのです」
　アーチャー、シャーマン、ワイバーン、オーク、加えてハイオークの姿も確認できたのだ。
　恐らく、二ウェーブ目と三ウェーブ目が混じってしまっている。

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