【星幽塔】第五階層　結界塔防衛戦線｜リアクション

【星幽塔】第五階層　結界塔防衛戦線

　夏朝、真白、エロの戦いを見守りながら、ペルラ・サナーレは癒しの門の前にいた。癒しの光で修理をしながら、周りを固める聖騎士達を振り返る。
「敵の攻撃が止んだ時なら癒しの門に来れば私が治療するとお伝え下さい」
　一人の中年男性聖騎士が前に出た。
「私にお任せを」
　彼は一際頑丈な鎧の騎士を見やった。
「隊長殿、行って参ります」
「うむ」
　彼は体勢を低くしながら、戦地へと駆けていった。
　ぺルラは修理を続けながら片手で杖を握る。

　ティオレ・ユリウェイスは一ウエーブのゴブリンの真正面にある魔火砲の修理を行っていた。
「もう少しね」
　ティオレが呟くと、周りを固めていた聖騎士達が声をかけてくる。
「王国騎士様、奴らのスピードが上がりました」
　ティオレはギクリと一瞬手を止めた。嫌な予感はしていたが裸踊りの件を知っているらしい。頭痛がしてきたが、修理を止めるわけにはいかない。
「ギリギリまで引きつけて。大丈夫、間に合うわ」
　聖騎士達の遠距離攻撃で足止めをしていたが、そろそろ危うい。
「やった」
　修理完了。
　すでに数メートルに迫っていたが、ティオレは火砲を放った。
　ゴブリン達の断末魔の悲鳴が辺りに響き渡る。
　一ウェーブの壊滅を確信したところで、一人の騎士が癒しの門の方から駆けてきた。
「癒しの門へ行けば、ぺルラ様が怪我の治療をしてくれる！　ニウェーブが攻めて来る前に、急げっ」
　ティオレは自分の周りを死守してくれた騎士たちを見回す。
「怪我をしてる人は癒しの門へ。次の攻撃までなら火砲が使えるわ」
　ティオレの言葉を受けて、数人の騎士達が移動を始める。

　エロは癒しの門からやってきた騎士の言葉を聞き、巨大な体のまま負傷者を運んでいた。一ウエーブにして、聖騎士達は何かしらの怪我を負ってしまっている。
「早く行くですー」
　やがて、癒しの門が見えてきた。
「この人たちをお願いしたいですー」
　エロの手から地面に下ろされた負傷者に駆け寄るぺルラ。
「大丈夫、傷は浅いです」
「よろしくお願いするですー」
「そちらの戦況はいかがですか？」
　負傷者の治療をしながら、ぺルラがエロに問う。
「比較的、怪我をしている人は少ないのです。今、色々修理中なのです」
「！」
　ぺルラは、はっとした。
地響きと獣の雄たけび、どうやらニウェーブがやってきたようだ。

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