寝子高制服☆トリエンナーレ！｜リアクション

寝子高制服☆トリエンナーレ！

●アダルト：エントリーNo.13 檜扇唱華

　星ヶ丘寮のメイドさん、檜扇唱華は、メイドらしく楚々とお辞儀をすると、キャットウォークを颯爽と歩いてきた。端まで来ると、スカートの裾を軽く摘まんでメイドターン。
　ふわりと上品に、スカートが渦を巻く。
　その中に潜む神秘は見えそうで見えない。
　そのかわり、はち切れそうな胸元が、ふわん、と揺れた。
「ふむ、セクシーですね……」
　観客のそんな声は、届いているのかいないのか。
「芸術科、服飾担当の檜扇でございます」
　寝子高ＯＧの唱華はおっとりと微笑んだ。

「制服のこだわりは、在校当時着ていたままだということでしょうか。
　色は少し褪せましたが手入れをしっかりしておけばこんなにも長持ちするものです」
　うんうん、と桐島先生が頷いている。
　間違いのない制服の着方が、桐島先生のお気に召したようだ。胸……も見ている気はするけど。
「当時は色々ありました。同級生を実験台に服を作ってファッションショーしたり。たしか校長先生が……あら、うふふ。お喋りが過ぎるのはいけませんわね」
　唱華は、口元に手を当てて上品に笑った。
「次は私の妹ですね。インパクト強めの演出にどうぞご注意を」

●アダルト：エントリーNo.14 檜扇舞華

　音楽が、可愛いアニソンのイントロに変わった。
　ネコ耳ツインテールに拡声器という、まるでアニメから飛び出してきたかのような少女が、舞台袖からジャンプで登場！　檜扇舞華。姉同様、星ヶ丘寮のメイドさんだ。
　舞華は、にゃーんと猫招きポーズで観客（主に男子）の心を掴むと、キャットウォークを跳ねるようにスキップして、その先っぽで妖精のダンスのような軽やかなメイドターンを決めた。そのまま拡声器で歌いだそうとしたところで、なぜかＢＧＭがフェードアウト。がくっ、とずっこけてみせるが、これも演出。音響さん、いい仕事をする。気をとりなおしたように、舞華は拡声器のスイッチを入れた。
　

　
『ジャックした！　この会場はアイドルがジャックした！』
　拡声器越しの声は、ショタっぽいアニメ声。
『高校生アイドル系魔法少女マイちゃん、カレーに投入！』
　マイちゃんは、高校生でもアイドルでも魔法少女でもないのだが、彼女が発する謎のキラキラ成分と、アニメの変身シーンで流れるようなキラキラキラーっというＳＥのお蔭で、会場は大いに盛り上がる。音響係さんサンキュ！
『着こなしのポイント！　それは！　スカート丈は短く、それでいてパンチラしない絶対領域を保持！　可愛いアイテムをつけてアイドルを演出です！　ネコミミはいつもの。拡声器は私なりにデコりました！』
　イエーイ！
『あたしは寝子高卒ではないのですが！　この制服、姉さんが突貫で合わせてくれたんですよ！』
　イエーイ！
　そのお姉さんは、妹の可愛い姿をデジカメで激写しまくっている。
『みんなトリエンナーレ！』
　謎の掛け声とともに、舞華は何処からか取り出したステッキを振り回した。
　なんだかよくわからないが、会場も一体となって『トリエンナーレ！』と叫んでいる。
　ここで舞華はウィンクとＶサインで決めポーズ。
　
「舞華ちゃん、そろそろお暇の時間ですよ」
　そのとき、姉の唱華が舞華をお姫様だっこで抱き上げた。
　この場を去るのは惜しかったが、舞華は唱華の腕の中で、最後まで笑顔で手を振った。
　姉は軽々と舞華を抱いたまま歩いてゆく。
　唱華の抱き方が上手いのか、舞華のスカートの中の神秘も、最後まで見えそうで見えなかった。