寝子高制服☆トリエンナーレ！｜リアクション

寝子高制服☆トリエンナーレ！

●制服：エントリーNo.20 折口ゆづき

　駄菓子屋きらく屋の看板娘・折口ゆづきは、口元に手を当て驚いた表情で、ひとつ前の武道がずるずると弟に引きずられていくのを見守っていた。
（前の人、すごかったな……私、準備も何も無いまま出ることになっちゃったけど……こういう時は、ありのままの……私でいいのかな？）
　上着やベストは羽織らず、白シャツに『きらく屋』のエプロンを着けたまま。
　せめて、と思い立って、まくった袖を元に戻し、手首のボタンもきちんと閉め直す。
　胸元のリボンが緩んでいないかチェック。うん、大丈夫。
　口もとにふわっと微笑みを作って、ゆづきはキャットウォークへ向かう。

「えっと……平日の放課後は、今みたいに制服＋エプロンでお店を手伝うことも多いです。
　ですので、この恰好も……私にとってはもう一つの『制服姿』なんです。
　今後とも、駄菓子店きらく屋を宜しくお願い致します……！」
　そういってぺこりとひとつお辞儀。
「……可愛く似合ってるぞ」
　同じ商店街の薬局の看板娘・毒島林檎が拍手を送ってくれている。
　林檎だけでなく、ゆづきの飾らない姿に、会場中から拍手が送られた。

●制服：エントリーNo.21 西野町かなえ

　看板娘繋がりだろうか、次に登場したのは豆腐屋の看板娘・西野町かなえだった。
　軽やかに跳ねるツインテールを結ってくれたのは、今日いっしょに出店を出した雨崎荒太郎。
　すこしドキドキして会場を見渡すと、荒太郎の姿はすぐに見つかった。
　なにしろ、『とうふ☆アイドル』の大きな旗を掲げていたからだ。
　荒太郎はその旗と手を大きく振って応援していた。
「可愛いよー！」
　この言葉が、かなえの胸をどんなにあったかくしただろう！
　かなえは、キャットウォーク端までパープーと笛を吹きながら楽しそうに歩いてきて、まずひとこと、
「屋台ちゅっちゅろすをよろしくやでー！」と宣伝した。

「着こなしのポイント？　んー、人と違うんはやっぱこの笛やろか？
　うちの家でやっとる豆腐屋で移動販売するときに使うんやで。
　大事なもんやからいつも持ってるんや♪
　あとなー着こなしやないけど、さっき友達に髪結んでもらったんや。
　それでな、うちの事かわええって……えへへー」
　かなえはほんのり頬を染めた。荒太郎もすこし上気した顔で、なおいっそうぶんぶんと旗を振っている。

　ちなみに。荒太郎が持っていた『とうふ☆アイドル』の旗は、白沢先生に教わったミシンで荒太郎自身が作ったもの。翻すと、こんな文字が描かれている。
『西野町とうふ店もよろしくね！』

　まだまだ不器用なふたりだけれど。
　愛が篭ってるって、きっとこういうことだよね。