寝子高制服☆トリエンナーレ！｜リアクション

寝子高制服☆トリエンナーレ！

●制服：エントリーNo.24 雨寺凛、No.25 上穗木千鶴、No.25 夢宮瑠奈

　続いて登場した３人の少女たちが大きな拍手で迎えられたのは、それだけ軽音部の演奏を聴いた観客が多かった証拠だろう。
　軽音部部長・雨寺凛のいうことには。
「ライブとは別にこういう形で舞台に立つことになるとはねぇ……。ま、当たっちゃったんだし仕方ないね、出るからには思いっきりやらせて貰うよ！」

　凛はいつもの通学スタイルに、ギターケースも合わせてのコーディネート。
　キャットウォークも、笑顔で手を振り元気の良さをアピールしながら歩く。
「パッと目立つ赤いスニーカーもポイントだよ！」

　一方、アイドル志望の夢宮瑠奈は、踊るような軽い足取り。

　『楽しい』――そんな感情が聞こえるかのような動きで、瑠奈はキャットウォークの端まで来ると、クルッと回って、顎に両拳を当てるポーズでウインクを決める。
「ええっと……こだわり？　もともと寝子高の制服は可愛いんだけど、ブラウスもかわいいのを選んでもっと可愛くなるように頑張ってます。無難な可愛さっていうのもありだよね」
　美和ちゃん先生が、アリだよー！　と手を振ってくれている。
　瑠奈はアイドルスマイルでそれに応えた。
（楽しい……！　やっぱりあたし、ステージの上にいるのが好き！）

　さて、三人めとなった上穗木千鶴は、小学生のように小柄ながら、おムネの大きな女の子だ。
　しかも、手配しておいた夏服が何の手違いか（あるいは胸がまた成長したのか？）キツくって……。
　凛や瑠奈みたいに、ステージを楽しむ余裕なんて、全然ない。

「ふ、冬服と同じサイズを頼んだはずなのに……なぜか、サイズが違っていたんだ……だ、だから替えてもらうはずだったのに」
　はじけ飛びそうな胸元を必死で隠そうと、顔どころか全身を真っ赤にさせて恥じらう姿に、ごくりと生唾を飲み込む男子多数。
　響タルトが「ちーちゃん、頑張れっ！」と応援してくれている。
　が、悪戯っぽいところのある彼女は、男子的な視線で楽しんでもいるようだ。
　そんな観客たちの視線に、千鶴は「はうぅ……」と余計に縮こまってしまう。
「……ぼ、ぼくはその胸が少しだけ大きいからその……サイズがどうしても……なのに風紀委員ときたら」
　終いにはいつかの朝、風紀委員に咎められたことをいまさらのように怒り出す始末。
　巨乳ちゅわんは巨乳ちゅわんなりに、いろいろ苦労があるらしい。

「すごくかわいいよ～、似合ってるよ～♪」
　そのとき聞き覚えのある声がした。
　千明優輝だ。
　もうライブは終わったというのにまだメイド服姿で、キャットウォークの真下に陣取っている。やもするとモデルさんたちのスカートの中まで見えてしまいそうな位置だけれど、大丈夫。たいていの女の子のスカートは、可憐に見えて鉄壁ガードが出来るのだ。

　凛と瑠奈が、なおも恥じらう千鶴を両側から支えた。
　これが、一緒に演奏を終えた軽音部の絆。
「大丈夫だよっ」と瑠奈が微笑む。
「もし何かあったら、私たちが守ってあげるからさ。最後くらい元気出していこっ」
　と凛は部長らしく。
　千鶴は頷いた。
　そして、３人で高く高くＶサイン。
「「ポップ＆ロック！！」」
　軽音部の可愛らしい女の子たちに。
　はじけそうではじけない千鶴の胸のボタンに。
　大きな歓声があがる。
　優輝はじめ、観客席にいた軽音部の仲間たちも、同じように高くＶサインを掲げる。
　するとポップ＆ロックなＶサインは、すぐに会場中を埋め尽くしたのだった。