寝子高制服☆トリエンナーレ！｜リアクション

寝子高制服☆トリエンナーレ！

「甘いお菓子を出しているお店があるって聞いたの。一緒に行ってみませんか？」
　そう誘ったのは、大きな青い瞳が印象的な小柄な少女・花風もも。
　ももは男子の学生服で登校していた。
「お帰りなさいませ、ご主人様方」
　察して氷華も小さな微笑を唇に乗せて、二人を席に案内する。
「憧れがあって着てみたけど、やっぱりちょっと恥ずかしいな……。本当に変じゃない……？　大丈夫……？」
　誘われた堀和哉は、おどおどするももを見下ろして、少しオトナの余裕。
　薄桃色の髪を、大きな掌でくしゃりと撫でる。
「俺から見れば似合って見えるし、そんなに恥ずかしがる必要もないさ。強制出場ってのは災難だが、応援するから頑張れよ」
　励まされ、トリエンナーレ出場に、ぴんと張り詰めていたももの表情にも、ようやく花が開く。
（本当は姉様に見て欲しかったけれど、姉様も忙しいものね……）
　逡巡し、ふと和哉を見上げれば、彼も今日は伊達眼鏡で決めているのに気付いた。
「和哉さん、今日は眼鏡を掛けてるの？」
「ああ、いつもと雰囲気を変えてみるのも面白いよな」
「ええ、とってもお似合いなのよ?　眼鏡を掛けるだけで、雰囲気が少し違って見えるのね……」
　勉強は大の苦手だという和哉、普段は眼鏡など掛けない。ももは興味深げな視線を送る。
「何だか、知的に見えるの」
「はは、そうか？　眼鏡ってこう、掛けるだけで頭が良くなった気分がするな。気がするだけで、実際に良くなる訳じゃない、が……。勉強せんといかんよな……。でもまあ、今日ぐらいは遊んでも問題ないだろ」
　ウィンクを投げて気さくな和哉に、ももはほんのり微笑んで。ずっと気掛かりだった事を、口にする。
「和哉さん、姉様がいつもご迷惑をおかけして、ごめんなさいなのよー……」
「気にするなって。そう言えば今日はいないんだな。妹が来てるのに、あいつが来てないのも珍しい」
　最近なんか悩んでた様に見えたし、あいつにも色々あるんだろう。
　かわいい妹には知られたくないっぽいから、ももには黙っておくことにするとして……。
「服は、また今度着て見せてやるといいさ。今日は土産でも買って行ってやれば、喜ぶんじゃないか？　とりあえず、何か食おう。女の子と一緒だと、甘い物の買い食いも躊躇せずに済むから助かるよ」
「本当？　僕も一人でまわるのは寂しかったから、和哉さんが一緒に来てくれて、とっても嬉しいのよ？」。
「そりゃ良かった。男一人だと、妙に気恥ずかしいというか……。誘って貰えて俺も嬉しいよ」
　何よりも、今を楽しもう。