【星幽塔】第一階層　秋の味覚を討伐せよ！｜リアクション

【星幽塔】第一階層　秋の味覚を討伐せよ！

　ティオレは霊刀秋刀魚に対し、身構えた。
「こいつと殺し合うのは何年ぶりだろうねぇ」
　仲間と共に狩り、脂のったプリプリの身を堪能したことを思い出す。すると、秋刀魚の刀がティオレを定める。
　敵と認識したらしい。
「来いっ」
　高速で飛んでくる秋刀魚に対し、剣士の光、ロングソードを横に構える。
　刀を振りかざす秋刀魚、ティオレはその中の一本を剣の先の方で受け止めた。鍔迫り合い、と言えるだろうか。力が拮抗し、一瞬、お互いの動きが止まる。
「良い動きをするじゃないか」
　と、その時。もう二体の霊刀秋刀魚が出現してしまった。
「！　邪魔するんじゃないよ！」
　そう叫ぶと同時にティオレは秋刀魚の胴体を真横に蹴った。
「はあっ」
　ロングソードで突きを仕掛けるが、秋刀魚の刀に弾かれる。
「はあああっ」
　斬り合いは激化して行く。

　その頃、もう二体の凍刀秋刀魚。
　仲間のピンチに助太刀をしようとしていた秋刀魚達。しかし、
「やっと追いついたっ」
　メリィとリリエルが立ち塞がる。
　もう一体は逃げて行ったが、アリス達がなんとかしてくれそうだ。
「そこの人達、こっちは引き受けるからね！」
　単身、ロングソードで斬り結ぶティオレやアリス達に向かって、メリィが叫ぶ。
「ああ、任せたよっ」
「お願いね！」
　彼女達の答えにメリィとリリエルはお互いに首肯く。
「リリエル、アシストは任せたー！！」
「わかりました！」
　メリィはハンドクローを構え、駆け出した。刀のが横に振り払われる。
「おっと」
　体勢を低くして、ギリギリで交わすと、冷凍秋刀魚の間合いに踏み込んだ。
　魔風の光で風を纏わせ、思いっきり、切り裂く。
　数本の刀が折れて地面に転がった。しかし、それにもめげず、メリィに向かって突進してくる。
「危ない、メリィちゃん」
　リリエルはすでにはめていた魔風の手袋で風を引き起こす。
　メリィを上手く避けて風を起こし、冷刀秋刀魚を吹っ飛ばした。
　さらに魔風の渦の中に閉じ込め、動きを封じる。
「覚悟ーっ！」
　メリィはハンドクローを、折れた刀の間に突き刺し、冷刀秋刀魚の体を切り裂く。やがて、それは動かなくなった。

　ティオレはさまざまな方向から繰り出される刀を一つづつ避けながら、反撃のチャンスを待っていた。
(どこか、体に触れられる箇所があれば。……ん？)
　秋刀魚の腹の部分。そこに刀はなく、かなり無防備になっている。
「ここだっ」
　次の刀を弾き返したティオレは姿勢を低くし、
「覚悟しなっ」
　ロングソードを腹に突き立てた。
　予想通り、冷刀秋刀魚はそのまま地面に落ちて動かなくなったのだった。

　三体目は少し離れた海辺まで逃げてきて、海へと飛び込んだ。
　アリスは一緒にいたルークを見やる。
「秋刀魚は陸に上がった時が勝負だね」
　海から上がる時の水の跳ねを注意して観察し、銃を向ける。その作戦で行くことにした。
　ルークが顎に手を当てる。
「それ、待ってるより囮がいるんじゃないか？」
「え？　でも」
「オレが行くぜっ」
　アリスの静止も聞かず、ルークは海辺へ飛び出した。
「さぁ、オレが相手だっ」
　確かに挑発すれば出てくる確率が上がるだろう。
　アリスは穏やかな海辺に目を凝らし、跳ね水を観察する。
「……来た」
　パシャっという音が聞こえた。
「ルーク、右だよ！」
　飛び出してきた秋刀魚、ルークが刀を受け止める。
「今だ！」
　構えていたアリスが炎の弾丸を放ち、秋刀魚は黒焦げ寸前の香ばしい煙を上げて、うごかなくなったのだった。

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