なつやすみのだいぼうけん！｜リアクション

なつやすみのだいぼうけん！

　それからどれくらい歩いたろうか。
「あれ？」
　あんずの声に、美里愛が反応する。
「どうしたの？」
「林の奥に、何か見えた」　
「え、もしかしてお宝？」
「わかんないけど、なんかキレイ」
　あんずが指差す木々の奥を見て、
「見える……」
　ゆきのも頷いた。
　誰からともなく、道をはずれそちらへ向かって足を進める。
　近づくにつれて、緑の隙間から鮮やかな色がたくさん見えてきて。

　不意に視界が開けた。
　一面に広がる、赤、黄、白、紫……
　そこは色とりどりのお花畑がだった。
「わあっ！」
「キレイ！」
「……すごい」
　疲れも吹き飛び、三人は歓声をあげた。
「写真撮ろうよ！」
　お花畑を背景に、三人並んでスマホで写真を撮る。
「きんぎんざいほーじゃないけど……」
「宝石箱みたいにキレイだね！」
　あんずもゆきのも美里愛も、顔を見合わせて笑った。

　三人はお花畑でお弁当を食べることにした。
「おいしい……」
「普通のお弁当のはずなのに……いつもよりすっごくおいしい！」
「いっぱい歩いたあとのお弁当、最高！　みんなと一緒だしね」
　お腹がいっぱいになって、改めて花畑を眺める。
「お花、つんで帰りたいけど……」
「つんだら、帰るまでにきっとしおれちゃうね」
「写真で、いい」
　宝物は、写真の中に収めることにした。

「名残りおしいけど、そろそろ帰らなきゃね」
　美里愛の言葉に、
「宝石……拾って帰るの、手伝って」　
　ゆきのが言い、あんずと美里愛はうなずいた。
　帰り道も、ちょっとした宝探しは続きそうだ。
「あ、夕陽……キレイ」　
　暑さは大分和らいでいて。
　歩いて疲れたけど、来てよかったな……とゆきのは思った。
「お花キレイだったね！」
「お弁当もおいしかったー！　また来ようね」
　美里愛とあんずが満足していたのは言うまでもない。

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