【花火大会】夏の夜花に何を見る｜リアクション

【花火大会】夏の夜花に何を見る

☆あさがおの花火と三麺娘

　またたぎ亭の屋台で、三人娘たちは冷やしうどんといっぱいの差し入れを食べながら、話に花を咲かせていた。
「おや、花火の音が……。花火が始まったみたいですねー。ふっふ」

　五月が空を見上げる。
「屋台から見上げる花火も、風情があって素敵ですなー」
「なんだかんだしてる間に花火が始まったアル！　屋台越しの花火もいいアルネ」
　華菜子も首を伸ばす。
　などと見上げていたら、花火があさがおに変わった。
「おお……花火で本当に花が咲いたの、私、初めて見ました。すごいですねー。あさがお綺麗ですー。ふっふ」
「あさがおの花火！　お花の花火、綺麗アルナ」
　赤、ピンク、紫……あさがおの花は三輪あって、いずれ劣らぬ美しさだった。
「見ていたら何だか真魚さんと華菜子さんと、今、この時の思い出を残しておきたい気持ちが湧いてきました」
「あっ、折角だから写真撮りたいアルナ」
「ふっふ、三人で写真、撮りましょう！」
　仕事に追われていた真魚は反応がワンテンポ遅れた。
「……って、あ、花火……始まっちゃったかぁ。ま、花火見るだけなら屋台からでも十分かぁ……何？　写真？　まあ別にいいけど……」
　そこまで言って、真魚は華菜子の顔を見る。
「……って写真撮るならその口についてるチョコくらい拭きなさいってのもぉ！」
「アイヤー、気づかなかったアル。どこ？」
「拭いてあげますよー。ふっふ。これで大丈夫です」
「まおちゃんのおじさん！　まおちゃん、ちょっと借りてくアルネ！」
「ああ、そんなのでよかったらかまわないよ」
「そんなのって何よもう」
　真魚はエプロン姿だったが、着飾るのが苦手な性質だし気がおけない友相手のこと、浴衣姿の友との写真に気後れすることもなかった。
　屋台から出た三人は、花火を背にして並ぶ。
「まおちゃんと五月ちゃんと私、三人で写真！」
「三人全員入れて、花火も入れて、自撮り！」
「花火まで入る？」
「自撮りはあんまりしないから上手く撮れるかわからないけど、いっぱいいっぱい思い出を撮るアル！」
　パシャ。

「どれどれ？　うん、こんなもんアルカ？」
「あー、だいぶはみ出してるけど、まあ楽しそうに撮れてるよね」
「もう一枚撮ってみますかー？」
　三者三様の表情は、どれも楽しそうで。
　高校二年生の夏をめいっぱい楽しんだ証となった。