夏のお泊り会、ゲストもいるよ♪｜リアクション

夏のお泊り会、ゲストもいるよ♪

☆カレー作り

「森篠さん……あ、お姉さんがお手伝いに来てくれたの？」
「はい」
　受付で名札をもらいながら森篠琳子は答えた。
　琳子は、仕事でお手伝いができない母に代わって、小学３年生の妹、奏子の保護者としてお泊り会にやってきた。
　寝子高３年の琳子は夏休みは就活中だが、その気分転換になればとの思いもあって参加したのだ。
　奏子はお友達と一緒に、楽しそうにみんなのところへ向かっていった。

　琳子は指示された家庭科室へ向かい、エプロンと三角巾をつける。
　そこには大量のじゃがいも、にんじん、玉ねぎ、肉があった。
（……完成までどれくらいかかるのかしら？）
　ちょっと気が遠くなりそうな量だ。
「それじゃまず、玉ねぎの皮をむいてね」　
　美人だがややキツめの外見の琳子は、神経質なせいで損をしている部分がある。
　けれどお手伝いのお母さんたちは、琳子に気さくに声をかけてくれた。
「高校生なの？　しっかりしてるわねえ」
「いえ……」
　母親と妹との三人暮らしの琳子は、家事もしっかりこなしている。
　食事の支度もしていて、カレーは割とよく作る定番メニューだ。
（とはいえこれだけたくさんあるとさすがに大変ね……）
　野菜を洗い、じゃがいもの皮をむき。
　手先は器用なので、野菜を切るのも手際がいい。
　他のお母さんたちにも感心された。
　けれど琳子も他のお母さんたちのやや雑にも見える手際に感心している。
（これはほかの人の手助けがなかったらとても賄いきれないわ）
　子供たちのためとはいえ、みんなよく頑張るわね、と内心思う。
「味は全部甘口です」
　カレールーをきざみながら責任者のお母さんが言う。
（食べるのは小学生だものね。大人には少し物足りないかも）
　そう思う琳子だった。
　
　やがてカレーのいい匂いが漂い始める。
　大きな鍋を校庭に運び、配膳を始めると子供たちが集まってきた。
「おいしそう！」
「早く食べたい！」
　列を作って順番を待つ子供たちに、琳子は大急ぎでご飯とカレーを盛り付けて渡す。
「おいしいねぇー」
　食べ始めた子供たちの満足そうな声に、疲れが吹き飛ぶ気がした。

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